ドリーム小説
魔法58
「なぜ貴様はこの部屋に居座る!」
薬のににおいのなか、不協和音を醸し出す甘い甘い匂い。
ハーマイオニーたちがこの部屋に招き入れられた次の日から、ルーピンは三日とあけずにこの部屋に来る。
特に用がある、というわけではないようで、甘いお菓子だったり、自分の授業の教材だったり。
なにかしら持ち込んではこの場所でゆったりと過ごしてでていく。
それに巻き込まれるのはセブルス、そしてもちろん私もなわけで。
一週間、それが続いた今日、とうとうセブルスが爆発した。
というか、ここまでよく持ったと思う。
セブルスすごい。
でもそれよりももっとすごいのは、セブルスの怒りを満面の笑みでかわすルーピンではないだろうか。
「いやだなあ、僕はに会いに来てるんだよ。僕がつれてきたボガートのせいでが外にでるのすらおそれている、って知ってしまったからね。」
たぶんそう言ったのはハーマイオニーなのだろう。
双子とハーマイオニーがきてくれた次の日から、私は少しずつ外の世界に足を踏み出すようになって。
まだ近い範囲だけではあるが、うろうろと徘徊することも増えてきて。
でもまだここにいることの多い私を気遣ってくれたのかな、と少しだけ思う。
「我が輩のじゃまをするな!」
「セブルス、ひどいなあ。僕はなにもしてないのに。」
・・・半分くらいこの人で遊びたいのだろうと思わなくもないけれど。
見た目だけでいらいらしているのがわかるセブルス。
不機嫌、という言葉を顔に張り付けたような表情。
とてもわかりやすいひと。
「まあ、セブルスに聞きたいこともあるんだけどね?」
からからと笑うだけだったルーピンが、す、っと表情を静かなものへとかえた。
「・・・なんだ。」
不機嫌ながらも聞く姿勢をとるセブルスはいつも思うが律儀だ。
くるり、そのままなぜかこちらを向くルーピン。
「」
「はい?」
呼ばれたので返事を返す。
そうすれば瞳が柔らかくすがめられて。
「セブルスって呼ぶようになったんだね。」
「はい。」
自分の顔が締まりないものになっているのを、なんとなく感じる。
でも不愉快なんかじゃなくて。
ルーピンはまぶしそうに私を見る。
そうして今度はセブルスへと向き直るわけで。
「なになに、セブルス。どっちから言い出したの??」
先ほどまでの深刻そうな顔はどこへやら。
楽しそうなルーピンが再びそこにいて。
「黙れ。」
機嫌はまだまだ急降下
でも私と一緒にいるだけじゃみれない姿。
それがみれたこと、なんだかうれしくて。
「ルーピン」
柔らかく名前を呼べば、なんだい、と向けられる視線。
「私が呼んだ、です。セブルス、って。」
ルーピンの向こう、少しだけ驚いたようなセブルス。
名前を呼んでもいい、その許可は、ここにいることすら許すようで。
「セブルス」
もう口からでることにためらいのなくなったその名前。
呼べば彼の瞳はこちらを向いてくれるって、わかっているから。
私の声が、あなたに届く
柔らかい眼差しと共に
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