ドリーム小説
魔法61
グリフィンドールの寮へ戻るため、皆でぞろぞろと道を歩む。
けれど、目的の場所へたどり着くことはできなかった。
聞こえてきた悲鳴。
そしてざわめき。
途切れ途切れ聞こえる会話には、シリウスブラックの名前。
それに混じる、共犯者、の言葉。
意味が分からず首を傾げて、
みんなの間から前を見据えれば、
きりさかれた貴婦人、その、すぐそばに、体を縮こまらせて震える小さな体。
見間違えるはずがない。
間違えるはずがない。
あれは、だ。
妹のようにかわいくて、
私を慕ってくれる、愛しい存在。
グリフィンドール生の天敵のはずのスネイプ教授の部屋に住み着く、おかしな子。
そして教授の表情を柔らかくする緩急材。
それが、どうして、今、ここにいる?
体をふるわして、必死に縮こまって、自分を守るみたいに両腕で抱きしめて。
この間会ったときはもう大丈夫、そう笑っていたのに。
先ほどからささやかれている、共犯者、その意味が分からないほどバカじゃない。
シリウスブラックが現れたという現場。
そこにいた見知らぬ存在。
疑われないわけがない。
「!!」
みんなをかき分けて、前に進む。
私の後ろからはハリーやロンもついてきて。
震えるからだを抱きしめる。
冷えきった小さな体を。
ぎゅう、と力を込めれば、真っ黒な、きれいな瞳がゆるり、こちらに向けられて。
「はーまいおにー」
小さな声で名前を呼ばれた。
守らなきゃ、この子を。
疑われるなんて、この子はなにもしていないのに。
この子は、なにもできないのに。
「ハリー!スネイプ教授を呼んで!」
後ろにいたハリーに叫ぶ。
私の口からでた言葉に、名前に、ハリーは驚きを見せて。
「ハーマイオニー!」
「僕らがつれていく!」
それを遮ったのは双子。
私の腕から軽々とを抱えあげて、歩きだす。
「皆、大広間へ!」
パーシーの声が響く。
それに従うように皆が動き出して。
をつれていく双子のすぐ後について、私自身も足を進める。
いったいなにがあったのか。
私じゃそれはわからなくて。
私には
震えるからだをだきしめてあげることしか、できない。
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