ドリーム小説
魔法66
「セブルス。お昼に歩くの許す、でしたら、何かお仕事したいです。」
授業に向かう際に告げられた言葉。
さらに、ローブをそっと捕まれれば振り払うこともできず。
昼間に校内を歩いてもいい。
その許可を出してから、はいろんなところにいくようになった。
そして様々な寮のものとはなすようになった。
まだ幼いこの子の世界が広がるのはよいことで、我が輩一人に執着しなくなるのは喜ばしいことで。
それでも、未だに何かがあったとき、この子どもが頼るのは自分だと言うことにかすかな優越を感じ。
そんな自分にため息がでる。
だからこそ、よりいっそう、こちらを真摯に見つめてくる瞳を、ないがしろにできなくて。
昼間に歩けるようになっても、生徒も、教師も、夜以上に時間に縛られている。
そうなれば、授業に参加しないこの子は必然的に一人になって。
寂しい、と。
一人にしないで、と。
この子供はすがる。
開心術すら効かない子ではあれど、その瞳は雄弁に心を語る。
「・・・いいだろう」
自分の口からでる言葉に、一番驚くのはいつも自分だ。
この子どもに対しては、ほかの誰よりも、なによりも甘く緩やかな思考になる。
「・・・本当、です?」
我が輩の言葉を疑うようなそぶり。
自分が一番驚いたというのに、さらに聞き返されて思わず眉間に皺がいく。
「何度も言わせるな。」
ぶっきらぼうと評判な口調でも、この子どもからすると、取っつきやすいらしい。
一瞬で、まるで太陽が差し込むかのように、光があふれる。
その子供の笑顔から逃げるようにその小さな手に教科書を押しつければ、少しよたつきながらもしっかりと抱きしめて。
「ちょうどいい。ものを運んだり雑用くらいには使えるだろう。」
返事を聞かずに足を動かす。
扉をあけて、廊下にでる。
ぐらりと衝撃を受けた心臓をなだめるように。
「よろしくお願いします!スネイプ教授!」
呼ばれなれた呼び方。
それが、彼女の口からでた瞬間、柔らかな色を帯びたような、そんな気がした。
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