ドリーム小説
魔法72
机に突っ伏して、寝苦しそうに寝息をあげる姿。
そんな姿ですら、かわいいなあ、と思ってしまった自分に笑いが漏れる。
クリスマス前に自覚した気持ち。
自覚すれば、それはすとん、とあるべきところに宿ったようで。
授業の雑用というお仕事。
最近、魔法薬学の本を読むようになった私をみて、セブルスはお仕事内容を少しだけ変えてきた。
実際に薬草をみる機会をたびたび設けてくれるようになったのだ。
それは、まあ、簡単な薬草を採りにいくのについてこいだとか、授業に使うものを計っておけ、だとか。
少しだけでも彼のそばにたてるかもしれないことが、うれしくて。
そう、うれしくて。
また、私は間違った認識をしてしまっていたのだ。
セブルスが、想う人のことなど、なにもしらずに
寝苦しいだろうな。
そう思いながらも、私の力では彼を動かすことなどできないから。
その体にそっと毛布を掛けてあげる。
そのままそおっと、その漆黒の髪に、ふれて。
小さな声で、彼の名前を、よんだ
「セブ__」
「・・・リリー・・・」
呼んだ名前は、知らない名前にかき消された。
それは、女の人の名前?
ねえ、セブルス、そのなまえは、なあに??
だあ、れ・・・?
触れていた手を、そっとはずして。
のぞき込んだ表情は、安らかで。
だから、気づいた。
その名前は、セブルスにとって幸せなものなんだって。
私なんかじゃ成り代われないほど、尊いものなんだ、って。
私じゃ、あなたの心には、寄り添えないんだ、って。
セブルス
舌になじんだはずの名前。
それが、今はただただ、苦い。
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