ドリーム小説
魔法74
「ルーピンのところにいってくる。」
苦そうな薬を調合し終えて、教授は立ち上がった。
どういう薬なのか、効能は何なのか。
何度か教授に尋ねたけれど、彼はこの薬に関しては頑なに答えをくれなかった。
今回もついていきたいと告げれども、あっさりと却下されて。
彼を見送ってぼおっと考える。
自分の心にはそっとふたをした。
すき、という気持ちを、家族愛にすり替えて。
そうやって、違う愛情でも彼のそばにいることを、望んだ。
”リリー”
彼の口からその名前を聞いたときから、私はあの人を呼べなくなった。
以前のように、教授、と。
そう呼ぶようになった。
その名前を許されるのは、私じゃぁないから。
あの人と同じところにたちたい、と学び始めた魔法薬学は、思っていた以上におもしろくて。
彼に認めてもらうため、以上に、ただ興味がつきなくて。
持っていた本をさらりとなでる。
ちらり、懐に常に入れている懐中時計を開ければ、彼が部屋を出てから時間が結構すぎていて。
いつもであれば、彼はルーピンの部屋からすぐに帰ってくる。
長居などしたくはない、と言わんばかりに。
けれど、今日に限って、遅い。
彼に、何かあるなんて、そんなこと万が一にもないのだけれど。
どことなく胸騒ぎがして、本を机の上に置く。
扉を開けて、目指すはルーピンの部屋だ。
そして、彼の部屋で見つける。
教授がいつも調合する薬が入ったゴブレット
たくさんの人の名前が書かれた古びた地図。
その地図は足跡を付ける。
名前とともに動き続けて。
暴れ柳、その向こうに、今、教授の名前が、消えていった。
追いかける、あなたを
手には薬の入ったゴブレットを持って
back/
next
戻る