ドリーム小説










魔法77















「信じられると思うのか。」


全てを語って、教授が告げたのはその言葉。

けれど、ロンがつれていたネズミが一人の男の人になってしまえば、それは疑いようのない事実なのだと、わかって。

男が、ハリーに、ロンに、ハーマイオニーに、駆け寄っては言葉を紡ぐ。

その視線が次に向いたのは、ハーマイオニーの横にいた私で。

ぎらり、輝いたそれに思わず後ずさればその視線を遮るように教授が体をずらす。


「セブルス」

信じない、そう言葉をつづる教授に声をかけるのはルーピン。

その表情は仕方がない子供を見守るみたいで。

「君だって、わかっているはずだ。」

念を押すように繰り返される言葉。

それに苦々しげな表情を隠しもしない教授。

「・・・校長に、話を。」

きっと、それが彼なりの最大の譲歩なのだろう。

自分の感情を隠すのがとても上手なこの人が、ここまでも感情を向ける相手。


いいなあ、と思ったり、思わなかったり。



男がルーピンに取り押さえられて、ロンとつなげられる。

そのもう片方には、ブラックがつながって。


先ほど通ってきた道を戻りだした私たち。

ちなみに私の前には教授。

横にはハーマイオニーだ。


けれど、一人だけ動かない人物も居て。


「ルーピン?」

名前を呼べば疲れたように彼は笑う。


「薬を飲んでいても、みんなと一緒にはいけないからね。」


その言葉の意味を図れなくて、横のハーマイオニーをみれば、彼女はこわばった表情をしていて。


「ハーマイオニー?」


そっと腕をひけば、彼女は少しだけ躊躇して言葉を探す。

「後で、話すから。」

結局、答えはもらえないまま。

教授はもちろん、言葉をくれない。





ハリーが一番に外にでて。

そこからブラックが、男が、ロンが、と続く。



そして教授が外に一歩踏み出した瞬間、聞こえてきたのは大きな声。

悲鳴で、怒鳴り声で、叫び声で。


ハーマイオニーの手を、ぎゅう、と握る。

いつのまにか外にでていた教授が私を引っ張りあげてくれて。


「グレンジャー。ウィズリーとを医務室へ。」


ぐったりと横たわるロン。

姿の見えない男とブラック。

遠くの方に走っていくハリー。



なにが起こっているのかわからないながらも、教授の言葉には従わなくては、と思う。


「教授、どこにいくですか。」


それでも、走りだそうとした彼を思わず止めてしまって。

そうすれば少しだけ迷って、彼は私にそっと触れた。


「なにも心配することはない。今はただ、城の中に戻ることだけを考えておけ。」


するり、温もりが離れる。

ハーマイオニーがせかすように私の手を引いて。








あなたの帰りを、ただまつの





城の中、あなたに守られる安全なところで。






















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