ドリーム小説
魔法8
(この回から「」は英語『』は日本語)
「ここの暮らしには慣れたのか?」
「・・・こ、この・・・なれた?」
「ここの、生活には、なれたのか?」
「・・・ちょっと、です。」
英語というのは私にとってとても難しい。
日本語とは並べ方も訳し方も違う。
けどきょーじゅのおかげか多少は(ほんとに多少)解るようになって来た。
校長の命令、といっていたくせにきょーじゅはきちんと教えてくれる。
私に解らないことがあると、溜息をつきながらも説明してくれる。
・・・最終的には和英辞典を渡されるのだが。
それでも、きょーじゅはいい人だと思う。
ぶっきらぼうで無愛想で卑屈で、でも、ほんとはとても優しい人だ。
そして同時にとても誤解されやすい人だ。
それらはこの数日間一緒に生活してきてわかったことである。
「ご、はん。」
「・・・少し違う。これは昼食だ。」
「ちゅ、う、しょ、く。」
「ああ。」
ご飯は基本きょーじゅの部屋で食べている。
たまにこうちょやふくこうちょに誘われたりもするが基本はここで食べている。
食べ物の名前など様々な単語を教えてくれる。
『斯波。』
突然の日本語。
反応して顔をあげれば、きょーじゅがこっちを見ていて。
『・・・校長がお前の生まれ故郷に連絡を取った。』
一瞬だけ伝えるのを躊躇するように視線をさまよわせて、けれどもこちらをしっかりと見直して。
『お前という存在は、どうやら存在しえないようだ。』
一度瞳を閉じて、小さく笑って見せる。
『わかった。教えてくれてありがとう。』
やっぱり、という感覚が強くて。
そんなに衝撃は、なかった。
きょうーじゅは少しだけ、困ったように眉をひそめたけれど。
『ごちそうさまでした。』
外国では無い習慣らしいそれに、始めのうちはきょーじゅも不思議そうにしていたがじきに慣れ、今では私がそれを言えば食事の終わりとなっている。
きょーじゅとの勉強(もどき)はそれまでで、ご飯が終わるときょーじゅはすぐに机に向かう。
何でもそろそろ学校が始まるらしく、その準備に大忙しらしい。
『・・・ひまだ・・・・。』
きょーじゅが机に向かうとはっきり言ってにはすることが無くなる。
わたされた和英辞典は見る気にもならないし、きょーじゅの部屋にある本は英語ばかりなので読めるはずも無く。
『・・・外に行こう。』
そろりと、まるでいたずらをするかのように忍び足で入り口に向かう。
今がいるのはきょーじゅの寝室だ。
入り口はきょーじゅの管理室にある。
そっとそこを覗くと幸いなことに、なのかそこにきょーじゅはいなかった。
きっと置くにもう一つある実験室にいるのだろう。
(やった。)
そっと外に出たは、ぐいいと背伸びをし、勘を頼りに歩き出した。
『うわあ』
そこは不思議な世界でした。
動く階段。
話しかけてくる絵画達。
そして、
「おや?めずらしい。この時期に生徒がいるとは・・・。」
『・・・お、ばけ・・・。』
宙に浮き話しかけてきた半透明なそれ。
それはがこの世界でもっとも恐ろしく思っているそれであった。
『・・・ぎゃああぁぁ!!!!おばけぇぇぇ!!!』
「ちょ、おじょうさ・・・」
うしろで呼び止める声が聞こえた気がするがそんなのは気のせいだ。
気のせいに違いないんだ!!
あちこち闇雲に走ったせいだ。
『ここ、どこ・・・』
息切れにようやっと立ち止まったそこは見たことも無い場所だった。
おしろたんけん
たすけてきょーじゅー!!!
※※※
なんとなく、自分の世界じゃないのかなと感じてはいて。
それが教授の言葉で確定されて。
あまりショックを受けていないのは、幼いから理解しきれない+たくさん事が起こりすぎてオーバーヒートしている状態。
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