ドリーム小説
魔法81
「魔法対抗試合、ですか?」
「ああ。忌々しいことにな」
教授の家にて。
学校へ行く準備を嫌そうに、しかしながら手際よくこなしていく教授。
あの日のことは、暗黙の了解、とばかりに触れずに。
彼は今年の学校のことについてはなしてくれた。
三大魔法学校対抗試合。
三つの学校がそれぞれ代表者を一人選び魔法で試合をするのだと。
魔法学校に居候しながらも、魔法を使う、という概念が抜けている私からすると、それはひどく非現実じみていて。
「・・・それはとても危険そうですね。」
ぽつり、つぶやけば教授からは同意が返ってくる。
「中止されていた理由は、死者が出すぎたことだからな。」
やっぱり、と思いながらも自分にとってはあまり関係ないか、というのも本音で。
だって、私の世界は小さい。
この小さい世界の中、大事な物だけを、守っていきていければ、それでいい。l
私の世界が壊れなければ、ほかはもう、どうでもいい。
私が大事なのは、私の名前をちゃんと呼んでくれる友人たち。
それから___
目の前、トランクにすべてを仕舞いきったのか、一息つくために紅茶の缶をあける教授。
愛しいこの人が、生きていて、私を呼んでくれるなら、それでいい。
小さな箱庭のこの世界
それをただ守るだけ
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