ドリーム小説
魔法82
「「!聞いたかい?!」」
聞きなれた両側のサウンド。
驚くこともなく、緩やかに二人を見上げる。
「おはようございます。フレッド、ジョージ。対校試合のことですか?」
首を傾けて問いかけるけれど、二人はぴたり、動きを止めてしまって。
「・・・成長したよなあ。」
「あのがまあ、立派になって・・・!」
しみじみ、とばかりに二人は首を縦に振る。
なんのことやら、と再度首を傾ければ、二人はふわり、穏やかに笑って。
「言葉がきれいになったね」
「表情も豊かだ。」
「「つまり、」」
「大人の女性に近づいてるってこと」
「美しい淑女に、ね。」
思ってもいなかった言葉に、瞳を一度、二度瞬かせる。
染み渡った言葉に、ふにゃり、破顔して言葉を返す。
「うれしい。ありがとう、フッド、ジョージ。」
そうすれば、二人はにやりと笑みを深めて。
「そろそろ意中の相手もに気づく頃だよ」
なんて、のたまった。
脳裏に鮮やかに巣くう彼の姿。
「ふふ、まだまだ、気づいてはもらえないですよ。」
正直に告げれば二人は顔を見合わせて。
ぐしゃぐしゃに髪をかき回してきた。
「こんなかわいいに思われているっていうのに!」
「なんてひどい相手なんだ!」
誰、とも聞かれていないのに、
誰、とも教えていないのに。
たぶん想像しているのは同じ相手。
思わず二人の顔を見れば、二人も同じように見返してきて。
「僕たちだったら、いつでも大歓迎だよ。」
「に想われるなんて光栄だからな。」
ああ、なんて優しい友人だろうか。
私の想いを肯定も否定もせず、ただ、見守ると言外に込める。
いつだって、逃げ場所であってくれる。
「二人とも、大好きですよ。」
両手を伸ばして、二人に触れて。
こちらから抱きついてみせる
二人は絶対に受け止めてくれるから。
※※※
試合の話をするつもりだったのに。
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