ドリーム小説
魔法83
大広間。
そこはいつもにぎやかだけれど、今日はいつもとは違う緊張感が漂う。
私はいつもどこかのテーブルに混ぜてもらって一緒にご飯をとっている。
今日はたまたまスリザリンのドラコの横。
ドラコに限らず、皆の視線は常に大広間の扉に向けられていて。
校長先生の声を、今か今かと待ち望む。
そして、先生は楽しそうに笑って、扉を開けた。
はじめに姿を現したのは青い色を身にまとったきれいな女性たち。
一歩踏み出すごとに、金色の奇跡を生み出す。
「わあああ!すごいですね、ドラコ!」
同じ様に感嘆の声を上げていたドラコのローブをつかんで引っ張る。
「ああそうだな。」
ちょっと投げやりな感じを受けなくもなかったが、ドラコは私に同意してくれて。
歩き方一つとっても、彼女たちはとても美しい。
すごいなあ、きれいだなあ。
思わず感嘆のため息をもらす。
彼女らはふわりと笑って優雅に一礼して見せた。
序で訪れたのは低い音。
あわてて入り口を振り返れば、暖かそうな服をまとったいかつい男の人たちが一歩、また一歩と足を進めてくる。
打ちならされる杖。
発された音に、自然、背筋が伸びる。
先ほどの優雅さを一瞬で塗り変えたそれらに皆の視線が釘付けになる。
杖を打ちならす彼らの後ろ、教師と思わしき人と共に歩む男。
彼が大広間に入った瞬間、ざわめきが、ました。
横にいたドラコも息をのんで。
何事かとローブを引っ張れば、興奮した様子のドラコがこちらをみる。
「クラムだ!シーカーなんだ!」
とまあ、答えを聞いてもわからなかったのだけれども。
もう一度視線を彼らへとやる。
と、
「・・・え?」
一番最後を歩いていた一人と、ぴたり、めが、あった。
瞬間、その一人は、大きく目を見開いて。
そして、その口は、形どった。
私の、名前を。
黒い髪、周りよりも少しだけスマートに見える体型。
それが、ゆっくりと、列をはずれてこちらに向かってくる。
まるで周りの音が消えたかのように。
彼はわき目もふらずにこちらだけを見つめて。
横からドラコが声をかけてきたけれど、それを認識することもできないまま。
ゆっくりと目の前にたった、その人が、ゆっくりと、手を、こちらにのばしてきて。
私の顔を、両手でつかんで持ち上げて、のぞき込んできた。
「 、・・・?」
その口から発せられたのは、やっぱり私の名前で。
記憶の奥底、忘れられたはずのそれが、じわり、沸き上がる。
違う、違う、そんなはずはないのに。
絶対に、違うはずなのに。
この人が、この場所にいるはずが、ないのに。
「睦月 昴、くん・・・?」
彼の顔と、声は、知っている人に、とてもよく似ていた。
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