ドリーム小説
魔法91
グリフィンドールの談話室で一晩過ごした日、教授は何も言わなかった。
ちらりとこちらをみて、遅かったな、そういっただけだった。
もうあの時みたいに探しに来てくれないのかと、寂しくなった。
でも、ポジティブに信用されているのだと、そう思うことにして自分を勇気づけた。
「ドラコ!ハーマイオニー!」
朝帰りした日の休み時間。
廊下の先、ちらり、見えたプラチナブロンド。
向かい合うのはふわりとした茶色。
見かけた瞬間、声をかけて駆け寄っていた。
二人はぎょっとした表情で同時にこちらをみる。
今更だけど、ハーマイオニーの後ろにロンとハリーもいたのに気がつく。
双方に流れるぴりぴりとした雰囲気。
けれどもまあ、久しぶりにあった友人たちだ。
そんなのは気にしない。
「ハーマイオニー久しぶりです!」
ドラコとの間に入り込んで、ハーマイオニーに抱きつく。
「・・・すごく背が伸びましたね。」
去年と視線も違う。
私の声に、ハーマイオニーが笑って返してくれる。
「もすごく英語がきれいになったわ。」
うれしい言葉にふにゃり、笑う。
「ハリー、ロンも、お元気でしたか?」
ひょこり、ハーマイオニー越しに二人に話しかければ、二人は驚きながらもうなずいてくれて。
「次の授業でお邪魔させていただきますね。」
なぜかこの子たちの授業にお手伝いしにいく率が低い。
でも今日午後からの授業には参加を認められて。
ひどくいやそうではあったけれど。
にこにこと笑いながら告げれば、べりり、温もりがはがされる。
代わりに後ろに温もり。
前に回される、誰かの腕。
誰か、といってもこの場合一人しか考えられないのだけれども。
「」
少しだけ怒ったような声。
回される腕に少し力が入って痛い。
「ドラコも、すごく大きくなりましたよね。」
以前は一緒くらいだったのに。
今では見上げなくては目が合わせられない。
私の言葉に脱力したように、彼はため息をはいて。
「あ、お話しているときだったのに、ごめんなさい。」
そういえば見かけたときはハーマイオニーとドラコとおしゃべりの最中だった気がする。
じゃまをしてしまっただろうか。
それだとしたら悪い。
そう思って言った言葉だったのに。
「って、本当にかわいいわ」
ハーマイオニーがあきれたように、でも楽しそうにそういって。
「空気を読むって、単語知ってる?」
ロンの言葉に首を傾けて。
「それがのいいところだよね。」
ハリーはとてもおかしそうに笑って。
「・・・行くぞ、。」
ドラコは私の腕を引っ張って、歩き出す。
どこに行くとも言わないけれど、とりあえず同じように足を動かし出して。
「ハーマイオニー、ハリー、ロン、また後で会いましょう!」
そう叫べば三人とも手を振りかえしてくれた。
すたすたと足を進めるドラコ。
必死で足を動かしながらちらりと彼を仰ぎみる。
そうすればどことなくすねたような表情。
珍しいそれに思わず名前を呼んだ。
「・・・なんだ。」
そうすればしぶしぶと、けれどちゃんとこちらをみてくれて。
「お友達になりたいなら、意地悪するのはだめですよ。」
ぽつり、落とした言葉。
ドラコはそれに対してため息を一つ。
「おまえはどこかずれてる。」
あきれたような声。
でも表情は困ったようで、泣きそうで。
「友人になりたいかなりたくないか、とか、そうじゃない。」
つながれていた手が、はなれる。
「友人になっちゃだめなんだ。」
くしゃり、前髪をなでつけて目を隠す。
「どうして?」
私の質問に、彼は笑う。
「グレンジャーは、純血じゃない。」
発せられた言葉。
その言葉は知っている。
魔法族じゃない、マグルから生まれた魔法使い。
でも、それが何だって言うの。
「私は、魔法を使えないです。でも、私たちは友達でしょう?」
ぐ、と距離を詰めて、下から彼を見上げる。
迷う瞳が、そこにあった。
「は、気にしないから。」
彼は笑っているのに、今にも泣きそうで。
「何も持たないは、僕と対等につきあってくれるから。」
再び伸びてきた手が、今度は私の目を隠す。
「僕は、純血か純血じゃないか。それを含めないつきあい方を」
肩に重さ。
首もとがくすぐったいのは、ドラコの髪。
「___しらないんだ。」
知ってる、意地っ張りなこの子が、今必死にあがいているのだと。
手を持ちあげて、触れる。
柔らかな髪に。
そのふるえる肩に。
「が、なにももたない君が、人と接する楽しさを教えたから、」
家柄故に求められる理解。
自分が望むように、友人すら作れない不自由さ。
「だからこそ、僕は苦しい。」
それを、知らないままでいれば、こんなに苦しむことはなかっただろうに。
ごめんなさい
その言葉はたぶん、ふさわしくない。
でも下手に言葉もかけられなくて。
一度、二度、なでて。
そっと寄り添う。
「ドラコ、一緒に考えよう。」
私じゃ役に立たないかもしれないけど。
それでも横で一緒に悩むことはできる。
意地っ張りで、強がりで、そして本当はとても寂しがり屋のあなたが。
少しでも納得できる未来を
どうかあなたの望むように。
※※※
個人的に空気よめないのはロンだと思うので、ロンには言われたくない。
ドラコは血統を含めないつきあいかたがわからない
でもまったくそういうのをもたない夢主とふれあって、視野を広げて。
だからこそ、苦しんでいる。
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