ドリーム小説










魔法92
















「グリフィンドール、5点減点」


教授の低い低い声が響く。

常よりも少しだけ楽しそうな、上向きな声。

気がついているのはたぶん、私だけ。

どうして教授がハリーたちがいる授業に私を参加させたがらなかったのか。

なんとなく、理解。

教授は、私をまるで小さな小さな子供のように扱うから。

汚いものを見せないように、慈しむように柔らかく包んで。


私はそんなに、きれいじゃないのに。


ちらり、ハリーをみる。

憮然とした表情。

そしてドラコの勝ち誇ったような表情。

年相応の反応に思わず笑みが漏れる。

視線を感じてそちらをみれば、なにを笑っている、とばかりの教授の視線。

苦笑いを返して見せて、そっと視線を逸らした。

やっぱり、いいなあ、と思う。

教授がハリーたちに向ける感情は、決していいものではないけれど。

それでも、教授にとってハリーはなぜかとてつもなく特別な存在で。



彼らと対峙する教授の表情は、私一人じゃ引き出せないものばかり。




席と席の間を縫うように歩く。

途中でハーマイオニーに目を奪われる。

その表情は楽しげで、彼女が知識を吸収するのをとても楽しんでいるのがわかる。

その横、ロンは対照的に嫌そうに蜘蛛の死骸に触れていて。

皆の一番後ろまで下がって、ぐるり、教室を見回す。

教授のテリトリーである、この場所。

彼の自室とは違って、多くの物であふれていて。

生徒一人一人の調合を把握しながら的確に指示を出す。

間違ったっ手順に進みそうになれば厳しい声でとがめて。

うまくいっている生徒の調合には興味深げに目をやって。


本当に、魔法薬学が好きなのだろう。


彼の自室においてある薬学の本。

わからないことがあるとき、問いかければ喜々として答えてくれる。

それはおそらく誰に対してもだろうけれど。

彼が大好きな薬学。

それに、携わることを許してもらえていることが、うれしい。

再び視線が、あう。

先ほどよりもずっとゆるんだ顔をしているのだろう、私に、彼はさらに怪訝そうな表情。

でも周りに向ける警戒は怠らず。

やっぱり私は笑顔になる。



あなたの、好き


に交われて、幸せ。




























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