ドリーム小説










魔法93




















「ど、して・・・?」

今までの歓声が、嘘みたいに、一気に大広間が静かになった。




たまたまお邪魔していたハッフルパフのテーブル。

セドリックの名前がゴブレットから吐き出された瞬間、皆が大きく飛び上がって叫んだ。

横に座っていたセドリックを皆がもみくちゃにしていく。

横にいる私も若干被害に遭いながらも、笑ってみせる。

危ないことをしてほしくはないけれど、セドリックなら大丈夫だという謎の自信があるから。


いってくる、そういって立ち上がったセドリックの笑顔。



それが記憶から消えないうちに、再度燃え上がるゴブレット。


「ハリー・ポッター」

吐き出されるのは、まだ年齢の満たない少年の名前。

静まり返る大広間。

皆の視線がハリーへと向けられる。

私も彼をみて、そしてハリーの表情が呆然としていることに気がつく。


違う、ハリーじゃない。


再度怒鳴るように発せられるハリーの名前。


ハーマイオニーが無理矢理ハリーをたたせて送り出す。

よろよろと、不安げな足取りで進み出したハリー。

彼を一人放っておけはしなくて。

立ち上がってハリーに駆け寄る。

そのまま無言で横に並んで、一緒に足を進めた。

、ぼく、」

放たれた言葉は、ふるえて。

ハリーの心情を表す。

「わかっています、ハリー。」

小さな声で返して、ハリーの手をそっと握る。

出会ったときよりは大きくなった手。

その手も、やっぱり震えていて。

ぎゅ、と今度は力を入れて握りしめる。

いろんな経験を、ハリーはしてきた。

絶対に私よりも強くて、私よりもたくましい。


でも、でもね。


この子は、私よりも幼いの。


見えないと言われるけれど、嘘でしょ、と信じてもらえないけれど。


私はこの子よりもお姉ちゃんだから。





震えるこの子を守ってあげる、義務がある。



校長の前で一度だけ、立ち止まる。

言いしれない表情を浮かべる校長に小さく笑って、示された扉へと足を進めた。




















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