ドリーム小説
魔法94
部屋に入れば向けらる怪訝そうな視線たち
ひときわ大きく震えたハリーをなだめるように再度手を強く握って、一歩一歩足を進める。
「どうしたんだ、。」
セドリックの言葉に微かに笑って見せて、部屋の一番奥へと足を進めた。
激しい音を立てて開かれた扉。
大きな音を鳴らして走りよってくるのは校長。
その後ろからは教授に副校長。
「ゴブレットに名前を入れたのか!?」
ハリーの胸ぐらをつかみあげて校長が彼を問いつめる。
否定の言葉をはくハリー。
それを信じきれないでいる校長に、不信感が募る。
「ハリーはなにも悪くないでしょう。」
校長の手に触れて、無理矢理ハリーとの間に体をねじ込む。
ハリーがそんな子じゃないって、知ってるくせに。
「ハリーはそんなことしない。」
後ろにかばったハリーが小さく息を吐く。
「」
呼んだのは教授。
校長の後ろから進み出てきた彼をまっすぐと見つめる。
「教授も、校長も知っているでしょう?」
いつだって、この子は巻き込まれる側。
一度として自ら望んだことは、ない。
この子の震えは困惑は、本物だ。
「」
再度名前を呼ばれる。
教授が私を手招く。
いつもであれば一も二もなくその腕に駆け寄るけれど、今回は、だめだ。
一歩踏み出しそうになった足を踏ん張って。
教授をまっすぐ見つめる。
「、ありがとう。大丈夫だから。」
後ろからの声、後、微かな力が加わる。
柔らかな温もり。
ハリーが優しく私の背中を押した。
「」
三回目の呼びかけ。
先ほどの二回よりもずっと、強い声。
あらがえないそれに、仕方なく足を進める。
教授のそばにたてば彼は私を様々な視線から隠すように立ちはだかって。
「ハリー」
小さく呼んだ名前は、彼に届いたようで。
こわばった表情が少しだけゆるむ。
いつだって、そう。
この子は、いつだって自らすべてを背負い込む。
私よりも小さいのに。
私の方が年上なのに。
自分以外を必死に守ろうとする。
目の前の教授のローブをぎゅ、と握る。
微かに向けられた視線。
それを見返すことなくハリーを見つめて。
「教授、私はハリーを助けたいです。」
私の言葉に教授の返事はない。
代わりとばかりに彼はその節くれ立った手のひらを私の瞼に押し当てた。
それ以上なにもみるな、
とでもいうように。
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