ドリーム小説










魔法97

















「・・・ドラゴンってあのドラゴンです?」

「そう。」

私の言葉にセドリックはひとつ、うなずく。

「空想上の生き物じゃないのですか?」

「実際にいるんだよ。まあ滅多に見ることはないけどね。」

驚きを隠せない私の声に彼は軽く笑って。


「それが、第一の課題。」


もたらされた言葉にさあ、っと血の気が引いた。

「セドリック、ドラゴン、危険、」

思わず片言になった私の頭をセドリックは優しくなでる。

「そうだね、危険だ。」

「セドリック!」

やめてほしい、思わず口走りそうになったけれど、彼はそっと私の口に人差し指を当てて。

は、僕を信じてくれないの?」

ぐ、っと息が詰まった。

「僕はが応援してくれたら、きっと頑張れるのに。」

困ったなあ、そんな表情で彼は首を傾ける。


そんなことを言われたら、やめてなんかいえるわけがなくて。


「セドリック、ずるいです・・・。」


私の言葉に彼は朗らかに笑った。


「がんばってください。」


くしゃり、さらに頭をなでられて、その手のひらに甘える。


「僕よりもハリーが心配だね。」

セドリックの言葉にはっと息をのんだ。

そうだった。

ハリーも同じ試練を受けるんだった。

「セドリック、」

彼の手をつかんで、ぐい、と引っ張る。

たぶん、セドリックは知らない。

ハリーが自分から代表選手になりたかったのじゃないと。

今ハリーはこの場所で、謂われのない理由でおとしめられている。

違うって、言ったってなかなかみんな信じてくれなくって。

セドリック、やっぱりあなたも?

疑問は感情に乗って、思わず叫んだ。

「ハリーは、自分で望んでないのです!」

この代表選手に選ばれたとき、確かに彼は震えていた。

あのふるえは、私にすがった手は、決して偽りじゃない。

でも、セドリックはあっさりと私に笑う。

「大丈夫。知ってるよ。」

やんわりとつないだ手を揺らされて。

おもわずぽかん、と彼を見上げれば、彼はやっぱり笑う。

「僕だって何度もクィディッチで彼と戦ってる。」

穏やかに私に言い聞かせるように、彼は言葉を続ける。

「彼を名前だけしか知らない人たちよりは、ハリーのことを理解してるつもりだよ。」

じわじわと、沸き上がる感情。

セドリックが、大好きな友達が、大好きな友達のことを疑っていないと、ただそれだけなのに。

握られていた手を振り払って、セドリックに飛びつく。

相変わらず彼は危なげなく私を受け止めて。

ぎゅうぎゅうとそのたくましいからだにすがりついた。

「どんなに強く見えても、あの子はまだ幼いんです。」

危険だからと設けられた年齢制限。

「いろんな体験してきたところで、知識はまだ年相応なんです。」

代表選手のうちハリーだけ達してはいない。

「強そうに振る舞ったって、まだまだあの子は弱い。」

知識だってまだまだたりない。


だから、


「セドリック、何かあったらハリーをお願い。」


優しい手のひらが私の頭を緩やかになでて。

「もちろんだよ、。」

誓うように彼は温もりをかえしてくれた。




どうか、あの子が必要以上に傷つきませんように




ぎゅう、ともう一度強くセドリックを抱きしめた。




















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