ドリーム小説
魔法98
「ハリー!セドリック!!おめでとう!!」
歓声でわく競技場。
私の心配をよそに、二人はとてもかっこよく勇敢に課題をクリアした。
ドラゴン、というおとぎ話の中でしか出会ったことのない生き物。
それらが確かに存在して、火を吐いて、動き回って。
セドリックも、ハリーも、ドラゴンを翻弄してみせた。
そしてその手に金色の卵を掲げて鮮やかに笑った。
私のお祝いの言葉は、残念ながらそれぞれの寮生に囲まれる彼らには届かない。
彼らの表情も晴れ晴れしく輝きに満ちていて。
きっとこれから二人はそれぞれの寮に連れて行かれて盛大に祝われるのだろう。
いいなあ、と小さく口に出す。
寮生どころか、生徒ではない私では加われないそれら。
少しだけ残念に思う。
「行くぞ、。」
入り込めない人の集まりをぼおっと眺めていれば、くい、と腕が引かれる。
ゆるり、視線をやればともに観戦をしていたドラコが手を引いていて。
「すごかったですね、ドラコ」
引かれた手に従って足を進める。
そうすれば鼻で笑ったような気配。
足を早めて彼の顔をのぞき込めばぶっちょうずら。
不機嫌そうに眉を寄せているのに小さく笑う。
観戦しているときは年相応に驚きを露わにして、危ないときは息をのんで、卵を手にしたときは小さくガッツポーズをしていた。
そう、楽しそうに見ていたのを私は知っている。
「代表選手なら当然だろう。」
小さくこぼされた言葉。
それはどことなく二人を認めるような色があった。
純血かそうでないか。
その関係を抜きにしての友人関係がわからない。
そううなだれていた彼は少しずつ変化を見せていて。
すごいなあ、と思う。
私よりも幼いはずの友人は、ほんの少しのきっかけで驚くほどの変化をとげる。
捕まれていた手をしっかりと握りなおして。
今度は私が先導するように先にでる。
「ドラコ、帰ったらおいしいデザートが食べたいです。」
私の言葉にドラコは仕方がないなと笑った。
気高くて、強くて、ほんの少しだけもろい、そして優しいこの子。
私は誇りに思う。
この子の友人であれることを
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