ドリーム小説
BASARA10
「Hei!小十郎!今日からは俺付きの女中だ。OK?」
「政宗様?!」
「・・・へ?」
政宗の執務室で、書類を片付けていた小十郎に帰ってきた政宗がかけたのはそんな言葉だった。
唐突のなさに思わず声を張り上げた小十郎よりもさきに、が政宗に言った。
「政宗様・・・。政宗様付きの女中・・・とはどういうことですか?聞いていません。第一私なんかより他の方々のほうが経験もあるでしょう。私なんか役に立つとは思えません。」
そう言ったに小十郎も便乗して続ける。
「私もそう思います。政宗様。はまだ女中として仕えだして日が浅い。政宗様のお役に立つ者なら他にもおります。」
2人の反論など気にもせず、政宗は言う。
「別に。お前に女中の働きなんか期待してねーよ。Understand?」
「・・・うぅっ・・・。」
「では何故を?」
は政宗に言われたことに地味に落ち込み、小十郎は怪訝そうに尋ねる。
「には聞きてぇ話がたくさんあるんでな。」
「聞きたい話・・・ですか?」
「Yes。それに自身にも頼まれたしな。『そばにおいて欲しい。』ってな。」
その言葉にますます小十郎は怪訝そうな顔を深めた。
が、それに反しの顔は真っ赤になった。
「そっ、そんなつもりで言ってません!」
「Ah〜?じゃあどういうつもりで言ったんだ?」
はますます顔を赤らめ口をパクパクと動かす。
「くくっ。顔が真っ赤だぜ?What doing?」
「つっ、次の仕事があるのでっ、失礼します!」
それを最後にはばたばたと部屋を出て行った。
「・・・政宗様。」
じとりとした目で見てくる小十郎の視線を体中に受けながらも政宗は笑い続けた。
「政宗様」
再度呼ばれた声にようやく政宗は笑い止み小十郎を見る。
「Sorry.小十郎。」
「一体どういうことなのかきちんと説明してくださいますね?」
疑問文のはずなのに、否定を許さない雰囲気で小十郎は言った。
「OK.OK.話すぜ?そうだな、まずの世界のことから、か?」
「の・・・世界・・・?」
政宗の遠まわしな言い方に困惑した雰囲気をかもし出す小十郎。
そんな彼に聞きなれた主の声がつげるのは、到底信じることの出来ない真実だった。
『。この話を人に話してもいいか?』
そんな言葉がに聞こえたのは、質問も終わりそろそろ小十郎のところに戻ろう、と言う政宗にが立ち上がったときだった。
『・・・。』
少し顔が曇り、不安げな顔で政宗を見たに笑って政宗は言った。
『Don‘T worry.大丈夫だ。あいつらもお前を信じる。・・まぁ小十郎は少し疑うかもしれねぇが、な。』
そんな小十郎が容易に想像でき、は少し笑う。
『・・・小十郎様、成実様、それから喜多様、梅さん、この方々には、いずれ話したいと思ってました。なので、大丈夫です。』
『OK、お・・・Wait・・・今、成実って言わなかったか?』
そういったに政宗は笑いかけて、止まった。
『?はい。成実様ですよ?』
そんな政宗に気づかずは答えた。
『・・・小十郎や喜多、梅はわかる。がっ、なんで、成実なんだ?!ってか、知ってんのか?!』
『はい!よく休憩中にお話に来てくれますよ?時々おまんじゅうももらいます。』
嬉しそうにそういったに政宗は右手で前髪をかきあげた。が、
『成実様が言っていらっしゃったとおり、政宗様は素敵な方でした。』
の言葉に政宗の動きが止まった。
『・・・Ha?』
『会うたびに言ってらしたのです。政宗様はすごい人だ、とか、かっこいい、とか、あとは・・・』
『Wait!?成実がそんなことを?!』
(・・・照れていらっしゃる・・・。)
あまりにも驚いて聞き返されたので自身も驚いたが政宗の顔が微かに上気しているのを見て納得し答える。
『はい。いつもいつも言ってらっしゃいました。恥ずかしいから絶対本人の前では言わないけどって言いながら。』
髪をかきあげていた手で、顔を覆い政宗はぼそりとつぶやいた。
『Suit・・・。』
そんな政宗にふと思い出したようには言った。
『喜多様たちにはちゃんと私から話しますけど・・・えと、その・・・小十郎様にお話しするときはできたら一緒にいてもらえますか?』
少し気まずそうに話すに顔を覆っていた手を離し政宗は答えた。
『Of course、だ!』
さっきかわした政宗との会話を思い出しながら、は喜多がいるであろう炊事場をめざしていた。
「・・・?」
が、それは後ろからかけられた喜多の声で無駄に終わった。
「喜多様・・・。」
「・・・。顔が赤いわよ?大丈夫?」
の顔を見るなりそう尋ねた喜多には慌てて『なんでもないです!』と言った。
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