ドリーム小説
BASARA9
「私は生まれたときから今までのことをちゃんと覚えています。」
そう言うをまっすぐ見つめ政宗は先を促す。
「ですがその記憶はこの世界のことではありません。」
「・・・どういうことだ?」
そこで少し政宗は表情を訝しげなものへと変える。
それに表情を変えぬままは続ける。
「私はこの世界の人間ではありません。」
政宗の目が驚きで大きく開かれる。
「学校と言う、知識を得るための学び舎から帰るときに、雷に打たれました。そして気づいたらこの世界にいました。それからすぐ梅さんに拾ってもらい、・・・今に繋がります。」
は続ける。
「私が生まれた世界では、戦というものはありませんでした。人を一人殺せば重罪人です。それどころか危険とみなされるものを持つことも禁止されていて、それを破っても罪人になります。」
「・・・・・・」
政宗は何も言わない。
「この世界にはないものがたくさんあります。勝手に洗濯をしてくれる機械、夜でも明るい街、人を乗せて運ぶ金属の塊、天へととどくかのような高い建物・・・。」
「・・・Unbelievable・・・。」
「私がいた世界はこの世界よりもとても便利で、文明の発達した世界でした。」
「・・・。」
「そして、平和なところでした。」
「・・・。」
「もしかしたらこの記憶は、嘘のもので、本当に記憶をなくしているのかもしれない。そう思ったこともあります・・・。でも・・・。」
(・・・でも・・・。)
の脳裏によみがえるのは、この世界で過ごした1ヶ月ほどのこと。
けれどもそれ以上にはっきりと思い出すのは、10数年間過ごしてきたあの世界・・・。
大事な両親や、生意気な弟、私のことを支えてくれる巴夜深にぃや、冗談を言い合える友人たち。
(・・・あれがうそだとは、思えなくて・・・。)
政宗は黙ってしまったをじっと見つめる。
「それで全部か??」
その言葉に今度はが、驚いた顔を見せる。それににやりと笑い政宗は言った
。
「Hei!なんて顔してんだ?kitty」
「だっ、て、今・・・」
「Ha!言ったろ?俺を信じろ、って。それとも、なにか?今の話は嘘だってのか?」
それに大きく首を横に振りは俯く。
信じてもらえた。
その安心感がを包みこむ。
さらにあふれる涙を拭うこともせず。
「Thanks you. 政宗様」
そういって、精一杯笑った。
「Ah〜・・・。俺はを信じる。が、よく理解しきってねぇ。つーことで、Questionしてもいいか?」
の涙が止まったのを見計らって、政宗はそう言った。
「はい。もちろんです。」
信じてもらえたことに安心し嬉しさのあまり笑みをたやさないままは答えた。
「さっき泣いた理由は何だ?」
「・・・恥ずかしいことなのですが、思いがけずこの世界でないと思っていた、英語・・・異国語を聞き、嬉しかったのです。」
(この世界があの世界と無関係じゃないことが嬉しくて・・・。)
そう答えたになるほどとうなずき、新たな疑問に移る。
「何でお前は異国語をしゃべれるんだ?・・・Why can you speaking?」
「私の国では、全ての子どもたちには学ぶ権利がある、と考えられています。そのため6歳から15歳までの全ての子どもたちに義務教育というものが課せられます。そのなかで13歳から15歳のときに必修科目として異国語があるのです。ですので、私の国の子どもたちは簡単な単語やあいさつ程度ならば使うことができるのです。」
「それは平民、武士関係なくか?」
「はい。なにより私の国には身分の差はありません。」
「!・・・つまりみんな平等に知識をGetできるってことか?!Ha! It is Wonderfur!」
(この人は本当に民のことを考えていてくださる。)
「夜でも明るいのは何でだ?」
「電気と言う機械の・・・ごはん?のようなものがあって、それを常に機械が食べているのです。その機械が電気によって、自分から光っているのです。」
「Surprised・・・!ならば人を乗せて運ぶ金属の塊ってのは?・・・」
次々に説明を求める政宗には曖昧にしか答えられない。
「・・・ごめんなさい。うまく説明できないです・・・。」
そういうと政宗は楽しそうに笑う。
(成実様や、小十郎様たちがすばらしいと,この人になら全てを任せられると、思われる気持ちがよくわかる・・・)
とりあえず満足したのか、疲れてきているに配慮したのか、政宗は質問をやめた。
と、どことなく気まずそうに政宗は言った。
「Ah〜・・・。いつの間にかここにいたってことは、帰れるかどうかもわかんねぇってことか?」
「はい。そうですね。そういうことになります。」
「もう一つ・・・この世界はお前にとって生きにくいか?」
「・・・この世界の空はとても綺麗です。朝焼けや夕焼け、手にとることが出来そうなくらいのたくさんの星。空気もとてもおいしくて、人たちも優しい。・・・全部この世界で知ったことです。私の世界にいたままでは、体験することも出来なかったことです。・・・確かに不便だと思ったりこんなとき私の世界なら・・・と言うのはあります。ですが、そんなことは思っても仕方がないのです。それに、そのおかげで私が出来ることも増えました。この世界に来たこと、寂しいとは思っても後悔はしていません。」
(質問の答えにはなってねぇが・・・まぁいいか。)
そう思うと政宗は立ち上がり言う。
「・・・元の世界に変えれるまでここで暮らせばいい。んで、またお前の世界の話を聞かせろ。You see?」
座り込んだまま言葉を聞いていたは、逆行により光の中でたたずむ政宗に目を細めて答えた。
「I see.政宗様。・・・この身が元の世界へと戻るそのときまでどうかおそばにおいてください。」
その言葉に政宗は不適に笑った。
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