ドリーム小説













 BASARA11







「そうだったの・・・。大変だったわね。よくがんばったわ。」

 大事な話がある、と言って、夜に喜多のところにお邪魔した

そのが話すことを一字一句聞き漏らさないように真剣に聞いた後、話し終えたに喜多は優しくそういった。

「信じて、くれるんですか・・・?」

不安そうに言うに喜多は答える。

「あなたは嘘をつかない娘だもの。・・・というよりは嘘をつけない娘、かしらね?」

先ほどの深刻さは何処へ行ったのか、ころころと口元に手を当て喜多は笑う。

「ありが、とう、ございます。」

昼の政宗と同様信じてくれたと言う思いに胸が温かくなる。

(・・・でも、嘘がつけない娘・・・て私今まで嘘ついてたのになぁ・・・。)

そんなことを思いながら喜多から目をそらす。

すると、が何を考えているのかわかったように喜多は言った。

「だって。このことは言わなかっただけ。嘘をついてたわけじゃないわ。なにより、梅が早とちりしたのが原因だもの。あなたは何も嘘、ついてないわよ?」

それにやっとは柔らかく笑ってうなずいた。

そしてもう一度同じ言葉を繰り返す。



「ありがとう、ございます。」



そんなを愛しげに見つめ喜多は言った。

「梅にも、話さなきゃね?」

それにこくんとうなずいたに続ける。

「すぐには無理だけれども、今度近いうちにあなたにお休みをあげるわ。そのときにきちんとお話してきなさいな。あの子はきっとあなたを信じるわ。」

「はい!」

懸念していた梅のことを喜多が言ってくれたことに安心しは大きな声で返事をした。





女中頭である喜多は他の女中たちと違い一人部屋である。

その部屋に先ほどまで訪れていた少女を思い、喜多は物思いにふけっていた。

さきほどから明かされた真実に、いささか驚きながらも喜多は頭のどこかで納得もしていた。

梅の店であったときからどこか人と違う違和感を感じていたのだ。

それが異なる世界から来た所為だとは思わなかったが・・・。

本当のことを言うと、をここに連れてきたのは記憶のこともあったが、1番の理由は『怪しい』と言うことだった。

なので、渋る梅をなだめてを女中として城で雇ったのだ。

(でも、たとえ異世界の娘だとしても、今の自分にとってはかわいい妹なのよね・・・。)

一通り考えをめぐらせた後喜多は立ち上がった。

「とりあえずは、政宗様に報告・・・しましょうか。」

そう言って部屋を出て行った。





はこの世界の人間じゃねぇ。」

「異世界の人間だ。」

「この世界よりよっぽど進んだ文明を持ち、戦のない世界。それがの生まれ育った世界だ。」

「OK?理解できたか?小十郎、成実。」



一気にそう言われて小十郎も成実も反応できなかった。



昼に政宗から話を聞こうとした小十郎だったが、面倒だから成実にも話すと言う主により、夜、政宗の執務室に3人がそろってからようやく政宗は話し始めたのだった。



「まっ、政宗さ」

「ちょい待て、梵。がこの世界の人間じゃないってどういうこと?」

小十郎の困惑を多分に含む声を遮り、成実は問う。

「梵って言うんじゃねぇ!・・・異世界の人間ってことだ。」

「異世界の人間?・・・えぇと・・・つまり、この世界じゃない別の世界・・・ってこと?」

「Yes.そのとおりだ。」

「じゃあ、記憶喪失ってわけじゃなかったのか。」

「あぁ。さすがにこんなこと話せなかったんだろう。・・・まぁ気持ちはわかるがな。」

「そうだよねぇ・・・。初めて会った時にわたしはこの世界の人間ではありません。って言われてもねぇ。・・・信じらんないよねぇ。」

「というより、逆におかしいやつとして、追い出されるわな。」

着々と話が進む政宗と成実。

そんな二人とは違い、成実に遮られたときから一言も言葉を発しない小十郎。

「さすが成実!理解が早いねぇ。・・・それに反し、小十郎・・・てめぇは・・・。」

政宗に話しかけられたことにより、ようやく反応を示した小十郎に、政宗は溜息をはく。

「理解できたか?小十郎?」

「・・・はこの世界の人間ではない。そして記憶喪失だったのではなく、本当のことを話せなかった。・・・と言うことですか?」

「That all’light.解ってんじゃねーか!」

その言葉に小十郎は顔をしかめる。

「・・・この話を信じろとおっしゃるのですか?政宗様。」

そう言った、小十郎に政宗はにやりと笑って言った。

「Ha!誰もそんなこと言わねーよ。・・・信じる信じないは、てめーら自身で考えろ。・・・成実てめーもな。」

政宗はそういって立ち上がった。

成実は向けられたその言葉に口の端を少しだけ上げて笑う。

その瞳はいつかに向けたものと同じく、笑ってはいなかった。



「梵は信じるの〜?その話。」



何気なく放たれたその言葉に政宗は顔だけ後ろに向け笑っていった。

「Of course.俺はアイツを信じる、ぜ。」

月明かりを受け、不適に笑うその姿に、小十郎と成実は思わず目を奪われた。

「私も信じております。」

政宗が手を掛けようとした襖が向こうから開きそれと同時に声が聞こえた。

「HA!お前も聞いたのか?喜多?」

政宗にふわりと微笑み返し、そして、鋭い目を部屋にいたほかの二人に向ける。

小十郎と成実の顔は引きつり政宗はそれを見てますます笑みを深めた。

「あぁ、ついでに明日からは俺付きの女中にする。OK?喜多?」

「解りました。それでは明日には手配をしておきましょう。」

それに喜多は政宗を見ないまま返事を返した。

この話を出したとき渋っていた小十郎も姉である喜多にはかなわないと悟っているのか苦い顔はするが、何も言わなかった。

成実も驚き何かを言おうとしたが、喜多の目をみて、黙り込んでしまう。

「俺は、そろそろ寝るぜ?じゃあな。小十郎、成実。Good night!」

去っていく政宗の姿と反比例し近づく喜多の姿に小十郎は喜多に聞こえぬよう溜息をこぼし、成実は目をきょろきょろと動かし必死に逃げ道を探した。

「小十郎。何故溜息を?成実。きょろきょろしないで、私を見なさい。」

どちらも無駄だったようだが。



「くくくっ。成実はともかく、さすがの小十郎も姉には頭が上がらないってか。」



部屋に帰るまでの廊下で立ち止まり、月を見ながら政宗はつぶやいた。


























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