ドリーム小説











 BASARA12


。あなたは今日から政宗様付きの女中になりました。」

今まで隠していた秘密を話し、またそれを認めてもらえたことでこの世界に来てから初めてぐっすりと寝ることが出来た

そして今朝気持ちよく起きた彼女に、喜多からかけられたのはそんな言葉だった。


「・・・政宗様付きの・・・女中・・・ですか?」

喜多は笑顔のままうなずく。の脳裏に昨日のことがよみがえる。



『Hei!小十郎!今日からは俺付きの女中だ。OK?』


(あのときの、冗談じゃなかった、の?!)

混乱するをよそに喜多は話を続けた。

「まずは、部屋を移ってもらうわね。」



「一人部屋・・・ですか?」

今まで使っていた共同の女中部屋から政宗の部屋に程よく近い部屋へとは移った。

政宗付きの女中だからなのか、一人部屋だ。

引越しと言えるほどの荷物も持たないは、ほんの一往復で私物を全て運び終えた後ぽつりとそうつぶやいた。

「政宗様の配慮ですよ。他の人とずっと同じ部屋では、不審に思われることもないとはいえないでしょう?」

「ありがとう、ございます。」

政宗の配慮に胸が温かくなるのをは感じた。


「それでは、他の説明に参りましょうか。」

今までこの仕事をしていたのは喜多だったとのことで、今日は喜多に指導を受けながらは仕事をこなしていった。

政宗付きの女中と言っても今までとたいした違いはなかった。

朝、政宗が朝餉を取っているときには政宗の執務室を掃除する。

そして政宗が朝餉を食べ終わった頃にお膳を下げ政宗の寝室を掃除。

政宗の布団を干し、洗濯物を洗う。

執務中の政宗にお茶を持っていく。

夕方には布団などをとりいれ、夕餉を運び布団を引いておく。

そして政宗の気まぐれによりの世界の話を聞かせる。

など、それくらいのことである。他は今までどおり他の人たちといっしょに女中の仕事を手伝う、ということらしい。

そして今、は政宗の執務室の前にいる。

そろそろ休憩される時間だと喜多に言われ、お茶を持ってきたのだ。

同じく中にいるらしい小十郎の分もいっしょにだ。

お盆を下におき襖の前へと正座する。

以前喜多に教えてもらった作法を思い出しながら襖の向こうへと声を掛けた。



「政宗様。お茶をお持ちしました。」

「OK!Come in!」

すぐに聞こえてきた、主の声には無意識に頬を緩ませた。

「失礼します。」

襖を開け、お辞儀をし、中へとお盆を運ぶ。

そこには確かに政宗の他に小十郎がいた。

政宗の近くに行きお茶を置く。

小十郎にも同じようにし、失礼しました、と言い部屋を出て行こうとする。

が、そんなの腕を誰かが掴んだ。

「ふぇっ?!」

突然つかまれた事に驚き、また、その反動で後ろに倒れこんだを温かい何かが包み込んだ。

状況が理解できず目を瞬かせるの耳に笑う声が響く。

「・・・っつ!?」

その声があまりにも近くで聞こえたことには驚いて声を漏らした。

それと同時に自身の体温が上昇しているのも感じた。

「くくくっ。真っ赤だぜ?。どうかしたのか?」

そんなの姿に気をよくしたのか、政宗の声がさらに笑いを含む。

(ちっ、ちかいっ!っ、どうなってる、の!?)

声は聞こえるが姿は見えない。

変わりに背中にぬくもりを感じ、聞こえた声は耳元で。

(だきしめ、られてる?!)

それらが、何を示すのか、ようやっと気づいたの顔がますます赤くなる。

それがさらに政宗のいたずら心に火をつけるとも知らず、はそこから逃れようと、もがいた。

耳元ではまだくつくつとした笑い声が聞こえてくる。

「はなし、ってください!」

「What doing?そんなに暴れて。俺の腕の中は嫌ってか?」

(この人、完璧に、わたしで、あそんで、る!)

さらに強くなった腕の力に身動きも取れなくなった

そんなを楽しげに見る政宗。



「お戯れが過ぎますぞ。政宗様」


そんなに救いの声が聞こえた。

「こっ、小十郎さまぁ・・・。」

その声の方へ頭の向きを変え、情けない声でその名を呼ぶ。

そんなの声に小十郎は溜息をつき再度政宗に言う。

「政宗様。をお放しください。」

まっすぐとした部下の視線に観念してか、政宗はゆっくりとを解放した。と、

「・・・おい、。」

開放されたと同時に逃げ出し小十郎の後ろに隠れた

そんなの姿に顔を引きつらせ政宗はぽつりと言葉を漏らした。

にとっては、事情を知っているとはいえ昨日出会ったばかりの政宗より、この城に来てからずっとお世話になっている小十郎のほうがなれているのだ。

「何でしょうか、政宗様?」

小十郎の後ろに隠れたはその後ろからひょこりと顔を出し、政宗に尋ねる。

その姿にさらに溜息をつき政宗は言った。

。今晩俺の部屋に来い。OK?」

「?・・・あぁ、私の世界の話ですね。はい。解りました。政宗様。」

そういって、頭を下げると、はっとしたように小十郎に向きおった。

「・・・小十郎様・・・。」

「?どうした?。」

少し俯き加減で小十郎の名を呼ぶの姿。

その理由に気づいたのであろう政宗が口を開いた。

「安心しろ。小十郎は知ってる。あと成実もな。」

その政宗の言葉にはばっと顔を上げる。

そのことかと納得したのであろう小十郎もをまっすぐと見、話し出した。

。政宗様に聞いた。お前がこの世界のものじゃないことも、記憶のことも・・・。正直なところ、お前の話を信じてるわけじゃねぇ

・・・だが、信じたいとは思っている。」

小十郎を見返している、その目が悲しみに揺れる。が、小十郎の最後の言葉に驚いたようにその目を見開きそして、嬉しそうに、笑った。



(この世界の人たちはなんて、やさしい・・・)



「ありがとう、こざいます。」


















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