ドリーム小説












 BASARA18







「お菓子ご馳走様でした。政宗様。」


小十郎の登場によりここにいるべきではないと悟ったは、そう言い頭を下げて政宗の部屋からでてきた。

そろそろ夕餉の準備が始まるころだ。

はお盆を手に足早に炊事場へと足を向けた。

と、曲がり角でドンという衝撃と共には倒れこんだ。



「つっ・・・。」



「!・・・あら?ごめんなさい。見えなかったわ。」



声に顔を上げるとそこにいたのは紀伊だ。

そういう言葉を言うわりには瞳に心配したような色が見え隠れする。

こういう人だから、は紀伊を嫌いにはなれないのだ。

本当は優しい人だと知っているから。

は立ち上がり、紀伊をまっすぐと見た。

「・・・こちらこそ、ちゃんと前を見ていませんでした。すみません。」

そう言って、へらりと笑いお辞儀をしたに紀伊は切なげに瞳を揺らす。



「・・・こっ、こっちこそ、ごめ・・・。」

「紀伊ちゃん?どうかしたのですか?」



謝ろうとしたのだろうか、紀伊のその言葉は次いで聞こえてきた声にかき消された。

びくり、と紀伊の肩が揺れる。

それをは不思議に思いながら、声の方へ顔を向けた。

紀伊が来た方向から現れたのは菫だった。

「紀伊ちゃん?・・・あぁ、あなた。何してるの?こんなところで。仕事まだ終わってないでしょ。さっさとしなさいよ。こんなところにいられると邪魔、よ。」

そう言って菫は紀伊に声を掛ける。

「紀伊ちゃん行きましょ?この人の傍にいても何も良いこと無いもの」

「あっ・・・私・・・。」

「紀伊ちゃん?」

その場から動こうとしない紀伊に菫は顔を向け鋭い視線を浴びせる。

「っつ!」

その視線にびくりと身体を震わせ紀伊は菫の後を付いていった。



(・・・なんか、変・・・。)

二人はあんなふうに殺伐とした雰囲気を持っていなかったはずだ。

なにより上下の関係は以前は無かった。

二人に違和感を感じるもにどうこう出来る事ではない。

なので、はその場にあった、奇跡的に落としても割らなかった湯飲みを持ち炊事場へと向かった。





その場であった会話など知らずに





「何してんのよ。」

「ごっごめんなさい・・・。」

「まったく、役に立たないわね。」

「・・・。」

「まぁ良いわ。次は、これね。」

「っ・・・これ、何ですか?」

「何でも良いでしょ?気にしないで。」

「でもっ・・・」

「あーもーうるさい。あんたは黙ってこれをすればいいの。そうすれば、あの人たちは無事だから。」

「っ・・・は、い・・・。」

「じゃあ、よろしく。」



(ごめんなさい・・・ごめんなさい、・・・。)






____________________じたいはちゃくちゃくとすすむ。_____________________














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