ドリーム小説









BASARA2






  (・・・どうしよう・・・。)


 周りを見渡しても見えるのは木ばかり。どうやら森の中らしい。

けれども、の住んでいた街にはこんな森はなかった。

そして何より も、今までは遠目にでも必ず見えたものがどこにもない。

 「・・・ビルも、見えない・・。あの時は学校も見えてたのに・・・。」

 最後に見たのは、覚えているのは、光と轟音。

 (・・・雷に打たれたのかな・・?・・・だとしたら私は死んだのかな・・?)

 まだ頭がはっきりしない所為か、そんなことを考えていると後ろから草を掻き分けるような音が聞こえた。

 (・・・?・・・)

  不思議に思い振り向くと、そこには22,3くらいだろうか。少し茶色交じりの黒髪を後ろで結い上げ、薄桃に黄色の花柄が描かれた着物をまとう一人の女性が立っていた。

相手の女性も驚いたのだろう。綺麗な顔を驚きの表情に変えを見ていた。


 「・・・」
 

 「・・・」


  お互いがお互いの顔を見続けてどれくらい経っただろうか。

どことなく気まずい雰囲気をかもし出していた二人であったが、それは女性の発した言葉によって終わりを迎えた。

 「初めまして。私の名前は梅。あなたの名前は?」

ふわりとした春のそよ風をも思わせるその笑顔とともに尋ねられたのは自分の名で、しかしその笑顔の綺麗さに目を奪われたがその ことに気づいたのは一拍経ってからだった。

 「はっ、初めまして!えと、えと、と申します!です!」

 どもりながらも答えた名に梅という女性は、少し驚いたように目を見開くと、ぽつりと

 「・・・名字を持ってるの?」

 と、つぶやいた。

 「?今何か言いましたか?」

 聞き取ることの出来なかったは、首を傾げながら聞き返す。

 それに梅は再びふわりと微笑みなんでもないと返した。

 「どこに住んでるの?なんでここに?」


 「・・・・・・」

 はた、とは考えた。どこに住んでるの?

・・・ということは住所を言えばいいのだろうか?言えば教えてくれるのだろうか?

なんでここに?

・・・分からないと言えばどうなってしまうだろうか。

そんなことを考えていると、再び梅が口を開いた。

 「よい生地の着物をを着てるし、どっかのの武家の姫様か?お忍びで城下へでも来たのか?」

 (・・・ぶけのひめさま?・・・おしのび?・・・なんでしょう?)

 きょとんとした表情を見せるに梅はさらに続けた。

 「あれ?ちがう?・・・だったら、商人の娘・・・か?」

 (・・・しょうにんのむすめ?・・・えぇと・・・商人の・・娘?かな?)

 漢字を当てはめては見たが、意味の理解が追いついていない。そんなに梅は少し困った様に

 「まさか・・・とは思うが、あなた記憶ないの?」

 と聞いた。記憶がない・・・その言葉には考える。

 (記憶・・・はあります。・・・でもそれはここ・・・じゃない。ここはきっと、私の知らないところ・・・。)

 その質問に曖昧に笑って見せたに、何を思ったのか、梅はその綺麗な瞳にうっすらと涙を浮かべて言った。

 「!そうか・・・やっぱり記憶がないのか。それは大変つらかっただろう・・・。でももう大丈夫だ!あなたが記憶を取戻すまで、私のところにおいで!」

 「・・・!ちがっ・・・」

 「いいよ何も言わなくて・・・。私はあなたの味方だ!大丈夫。私の家は甘味屋なんだ。そこを少し手伝ってくれれば、他には何もいらないから!」

 勘違いしだした梅には慌てて弁解しようとしたが、それは、梅によって遮られた。

 ここがどこか解らない。

どこへ行けばいいのかも解らない。

そんな今の状態でそのお誘いは、大変魅力的ですばらしいものに聞こえた。 

見知らぬ方にお世話になるわけには・・・そうは思うが、一人での心細さと不安がその誘いに『NO』ということを許してはくれない。

 



 結局梅のその涙まじりの笑顔と『な!』と言う言葉によって、はうなずくしか出来なかった。

 





 

















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