ドリーム小説
BASARA 3
「ー!そこのお饅頭もってってー!」
「わかりましたー。」
「ちゃんお茶頂戴。」
「はーい。ただいま。」
が梅のもとで働き出して、約1週間が過ぎた。始めは、の知っている常識では通じぬことばかりで、失敗も多かったが、梅、そして店へと来るお客たちのおかげで、今では目立った失敗もなく日々をすごせている。の推測によると、この世界は自分の世界で言うところの戦国時代っぽいのだ。
まず、服装。
現代ではほとんど見ることのなくなった、着物。
これがこの世界の普段着だ。もちろん自体も普段に着ることなどほとんどなかったのだ。
着付けを覚えるのに3日ほどかかった。
今でもきちんと着れてるとは言いがたい。
毎朝梅にチェックしてもらうことが、日課の一つになっている。
次に町並み。 もちろん車など走ってはいない。
外に出て、あたりを見渡して見える高い建物と言えば、お城くらいである。
梅たちの話によると、ここは、奥州というところらしい。
さらに城下町であるために、治安も他に比べたら、よいとのこと。
最後にもう一つ。
「・・尾張の・・・が・・・」
「豊臣の・・・・・が、・・。」
接客の合間合間に聞こえてくるのは、何度か日本史の授業で聞いたことがあるもので。
それらは、どうやら各国の勢力の名前らしい。
つまり、私は過去の日本にタイムスリップしたということになる。
本当に過去か・・・という事には疑問を抱くが、それは今の状態で考えてもわからないのでとりあえず保留だ。
もちろん何故このようなことになったのかという事に関しては、あの雷以外何も考えつかないので、深く考えることは、梅の家に居候させてもらうことになったときに保留とする!と、とっくに決めてた。
そんなことをぼおっと考えていると、お客さんから注文を頼まれた。
「ちゃ〜ん!お団子1皿おねがい。」
「は〜い。梅さんお団子1皿お願いします。」
「わかった。ちょっとまって。」
梅に注文を伝えると、すぐに作り出しす。
(・・・きれいだな・・・。)
梅の髪は光の射しぐあいによって茶色へと色が変わる。
その髪を見つめながらそんなことを思っていた。
を拾ってくれた梅は、一人で甘味屋を営んでいた。
一人でしているのかと聞くと、今雇っている子が里帰りをしているらしく、帰ってくるのが、早くても3週間後とのことだった。
『だから人手が欲しかったんだ。もちろんあなたの記憶を取り戻してあげたいのも本当だよ?』
ほんとにお邪魔してもいいのかと尋ねたときに梅は悪戯そうに笑ってそう話してくれたのだ。
記憶喪失という話については、が常識的なこともわからない様子だったのを見て、間違いないと確信してしまったようだった。
再びぼおっとしながら梅を見ていると、さらりと髪が揺れその下から意志の強そうな瞳が現れる。
「できた・・・どうかした?私の顔に何かついてるか?」
不思議そうに、そして少し不安げに尋ねられ、慌てて首を振る。
「何でもないです。少し考え事を・・・」
そう答えると梅はふわりとあの綺麗な微笑を見せて言った。
「じゃあこれを持ってってくれ。お客様を待たせんのは駄目だよ?」
「は〜い。」
理由はわからないが、ここにきてしまったものは仕方がない。
とりあえず今は、ここの生活に慣れることが第1。
それからのことは、帰れるかどうかはそのときに考えることにしよう。
はお団子の皿を運びながらそう考えていた。
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