ドリーム小説











 BASARA21





真っ白な世界。

何も見えない異空間。

はそこにいた。

ここは、どこ・・・?

私は、・・・たしか・・・。

姉!姉ってば!」

不意に耳元で聞こえた声には意識が浮上する。

「・・・灯、兎・・・?」

ゆっくりと開けた瞳に映るのはこちらを覗き込む一人の少年。

「起きた?姉。」

起き上がったを見てその少年は無邪気に笑う。

「・・・灯兎・・・。」

ぼおっとした頭でその少年の、否、弟の名を呼ぶ。

「うん?なにさ姉そんな顔して。なんかあったわけ?」

その声はなぜか懐かしくて、胸が熱くなる。

「っ?!姉?!どしたん?どっか痛い?!」

慌てる弟に意味が解らず首を傾げると、その拍子にぽろりと雫が頬を伝う。

「・・・え?なん、で、私泣いてるの?」

次から次へとこぼれる涙に困惑しは弟を見る。

「そっ、そんなこと聞かれても知らないよ?!ってか、僕が知ってるはずないでしょ?!」

の困惑以上にあせる弟に、涙はこぼれているのにくすりと笑った。



袖で涙を拭っていると隣から声がかかる。

姉〜。母さんたちでかけてるの。なんか作って?」

きょとり、と首を傾けお願いをする弟には断ることもできず仕方ないなぁ、とベットから腰を上げた。





「何食べたい?」

「何でも良いよ〜」

「ん〜・・・わかった。」

リビングに立ち冷蔵庫の中を物色する。

(こんだけあったら何作れるかな?)

作るものを決めさて取り掛かろう、としたときだった。



ふわり



視界が揺れた。目の前の色がモノクロになっていく。

(な、に・・・これ・・。)



   森。

   町。

   城。

  蒼い色。





急速に頭の中に流れ込んでくる映像。

それらはを侵食する。

浅くけれども確実に。

  ガタンッ

回る視界に、思わず倒れそうになりそばの机に寄りかかる。



姉?!」

その音に反応したのだろう。

灯兎が慌てて駆け寄ってくる。

「だいじょぶ?」

心配げな顔がの視界に入る。

「灯兎・・・。うん。大丈夫。貧血起こしただけだから。」

そう言ってはゆっくりと立ち上がる。

まだ心配そうに見てくる灯兎に笑いかけは改めて料理に取り掛かった。





「いただきます!」

「はい。どうぞ。」

目の前に並ぶ料理に嬉しそうに頬を緩ませ灯兎は手を合わせる。

その姿を見ても思わず頬が緩む。

「おいしい!」

「よかった。」

灯兎の素直な感嘆を聞いても料理を口にした。





食べ終わり食器などを片している時。

はそういえば、と灯兎に声を掛ける。

「ねぇ。灯兎。今日、巴夜深にぃ来るかなぁ?」

「・・・え?」

「ん?だから、巴夜深にぃ。ちょっと用事があるの。」

「・・・。」

「?灯兎、聞いてる?」

無言になった灯兎を不思議に思いは灯兎に尋ねる。



「・・・ねぇ・・・。姉・・・。巴夜深って、誰?」



「・・・え?」



   どくり



血液が逆流する感覚に襲われる。

嫌な予感と共に振り向けば



そこにいたのは、怪訝そうな顔をする弟だった。
















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