ドリーム小説
BASARA22
「の食事に毒を入れたのは私でございます。」
が毒に倒れた。そのことについて言及しようとしていた成実の前に、転がり出てきた一人の女性。
その女性は自分の名を紀伊といい、鋭い成実の視線にも臆することなく話し始めた。
「そうなんだ。君がいれたんだね?・・・理由は?」
紀伊に向ける視線はわずかも緩むことなく、先を促す。
「・・・」
「・・・だんまり?まさか理由も無いのに入れるわけないよね?」
何も言わない紀伊に成実は、さらに鋭い視線を投げかける。
「っ・・・りゆう、は・・・。」
絞り出すような声にも成実の眼光は緩まない。
「・・・じゃあ、質問を変えるね?・・・その毒は何処で手に入れたの?」
成実の低い声にびくりと肩を揺らし、紀伊は着物の合わせ目に手を入れた。
油断無く紀伊のその動作を見ていた、成実の前に紙に包まれた、粉が出される。
「・・・これが、毒でございます。」
冷めた目で、それらを見た成実は、廊下に残っていた、女中の一人にそれを手渡す。
「これが毒だって。政宗様のところに届けて。」
了承の言葉を背中に受け、成実は紀伊から目を離さないまま続ける。
「これ、何処で手に入れたの?」
淡々と話す成実を前に、紀伊は一度目を閉じる。
そして、次に開いたときにはその目は覚悟に満ちていた。
「・・・これは、同じ女中の、す・・・」
「?!」
それは一瞬のことだった。
紀伊がその名を告げようとしたときに、本当に一瞬だけ、部屋に殺気が放たれた。
それは、成実が腰につけた刀を抜くよりも早く、成実の横をすり抜ける。
目を見開く成実の目の前で、紀伊の体が傾ぐ。
それらはまさに一瞬のこと。
だが、それに対する成実の反応は早かった。
「黒脛巾組!今のやつを追え!一人は、梵に連絡しろ!」
その声にすぐさま気配が揺れる。
目の前に倒れこんだ、華奢なその身体を抱き上げ脈を診る。その際に見つけた針を布で抜き取った。
「成実!」
すぐさま聞こえてきた主の声も堅く、気を張っているのが解った。
部屋の中でうずくまる女中たちには何の外傷も無いのを見て、少しだけ息を吐き主に向き直った。
「この子医師のとこ連れてって。梵、今黒脛組に追わせてる。外からの進入ならあいつらが気づかないはすない。・・・内部の人間だ。あの女中が毒を盛ったらしい。入手先は、他の女中からだって。」
声を荒げることも無く淡々と話す成実の話を政宗も静かに聞く。
「・・・OK。成実・・・」
一通りの説明をし終えたとき、外で何かが落下するような音が聞こえた。
屋敷中が騒ぐ中一人の女が高い木の上から、見ていた。
手には、細長い筒。その顔は黒い布に隠されている。月は雲に隠れ姿を見せない。
毒針を放ったすぐ後に動いた気配にその女は舌打ちをする。
キィン
すぐさま身を翻そうとした、女に金属の刃物が投げつけられる。
四方八方から投げられるそれに女は応戦するが、多勢に無勢。
女は足を踏み外し、その場所から転落した。
その際に掠った刃物により、顔を覆っていた布が外れる。
地面に墜落する直前にその女は体勢を立て直すが、着地と同時に他の影によって女は取り押さえられた。
ザアアァ
風が吹いた。
雲に隠れていた月が姿を現す。
闇に隠れていた、素顔が明らかになる。
そこにいたのは
もよく知る人物
・・・菫だった。
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