ドリーム小説




BASARA25








 真っ暗な闇

がそれを捉えた瞬間のことだった。
   
   バシッ 

が掴んだ手が叩き落とされる。

目を見開くの前で政宗は自分の右目を手で隠した。



沈黙が訪れる。

静寂の中響くのは虫の声だけ。



どれくらいの時間が経ったのか、政宗は自分の右目を隠したまま身動きせず、もそんな政宗を見ながら何も言わなかった。

その沈黙を破ったのは、の主だった。



「・・・醜いだろ?これ。」



そう言うと政宗はゆっくりと右目を覆っていた手を離した。



そこには、黒いぽっかりとした穴が開いていた。



「・・・政宗様。」

そっと主の名を呼べば、その体はびくりと震えた。



その顔に浮かぶは、嘲笑。

その片目に浮かぶは、恐怖。



「政宗様。」



再び名を呼べば、政宗はから視線を外して、話し出す。



「俺がまだ、ちいせぇ時の事だ。天然痘って病気にかかってな。・・・その病の所為で、俺の右目はねぇ。」



「政宗様。」



「しかもこの眼が、醜いってな。母親にも嫌われた。」



「政宗様!」



「しかも、毒殺までされそうになってな!だが、しぶとく俺は生き残って・・・」



「政宗様!!」



に呼ばれても見向きもしない政宗には声を張り上げた。

それに政宗の話は止まった。

「政宗様。こちらを向いてください。」

話は終わってもこちらを向こうともしない政宗には言った。

それに少し躊躇うようなそぶりを見せた後、政宗はゆっくりとに向き直った。

そんな政宗に少し微笑み、は話し出した。

「政宗様。たしかに、驚きました。そして、醜いとも思いました。」

それに政宗の目は大きく見開かれ、さらに恐怖の色に染まった。



「けれども、私はその眼を嫌いにはなれません。その眼は政宗様の代わりに命を落としました。」

政宗は何も言わない。


「その眼は政宗様がこの世界で生きていくためにこの世界から消えました。その代償が、その醜さならば私は喜んでそれを受け入れましょう。だって、そのおかげで政宗様は今、ここにいます。」

を見ていた政宗の視線が床に落ちた。



「私は政宗様がここにいてくれて嬉しいです。政宗様が生きていて嬉しいです。もし政宗様がいなければ、私はまだ、この秘密を一人で抱え込んでました。だから、私は政宗様の代わりに命を落としたその眼に感謝します。」

そのままの状態で、動かない政宗には近づく。

そして、そっと政宗の顔を両手で挟み込んだ。

それにびくりと体を震わせた政宗には言った。



「政宗様。顔を上げてください。」

それに政宗はゆっくりと従う。



「政宗様。生きていてくれて、ありがとうございます。」

政宗の右目にそっと手を当て優しく触れながら、は微笑んだ

「・・・っ、!」

「!!」

政宗は頬に触れていたの手をとるとその手を引き寄せた。

腕の中に閉じ込めたに政宗は呟く。

「・・・俺は、実の母親に毒を盛られた。」

「・・・はい。」

「殺されそうになった。」

「はい。」

「だから、お前も、もいなくなると思った。」

「はい。」

「俺は、必要ないことで、仲間を、部下を失くしたくねぇ。」

「はい。」

「だから、だから。お前も死ぬな。絶対に死ぬなよ?・・・OK?」

「・・・OK.Mr伊達。」

その答えに満足したかのように政宗は腕の力を強めた。

いつもならば、すぐに赤くなっていただが、その腕の温かさにぬくもりに安心したのか、気が抜けたのか、襲い来る睡魔に勝つことができず、その腕に身を任せた。



「Good night.。いい夢を」



そんなことを言われたのは知らぬまま。

















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