ドリーム小説










 BASARA27







木漏れ日がきらきらと光る、雨上がり。

行き交う人々は笑顔。

先ほどまでの曇天を払拭するかのような人々の笑顔はとても眩しい。



時は昼を少し過ぎたばかり。

そんな城下町の片隅にはいた。

「・・・政宗様、遅い・・・。」

ことの起こりは、まだ雨上がらぬ頃。

城での女中仕事に励んでいたの前に毎日の恒例となった主の訪問。

いつもならば、立派な側近によって連れ戻されるまで、ただと会話をするだけだったのだが、今日は違った。

スパンと開け放った襖の前。

驚くの手を掴んだ政宗は、何も言わずにを馬に乗せてこの城下へとやってきた。

(・・・馬、怖かった・・・。)

初めて乗った馬は思っていたよりも高く、政宗のスピードはありえないほど速く。

それらに目を回しているをここにおいて政宗は

「Wait here.」

とだけ言って、馬を木につなぎ街中へと歩いていった。



そうして、鉛色していた空は青空に、城を出たときはまだ真上になかった太陽は真上を通り越し。

それほどの時間が過ぎるが、いまだ主は戻らない。

始めのうちは行き交う人々を観察したり、周りの景色を堪能したり、政宗の馬と戯れたりしていたが、ここまで遅いとさすがに心配になってくる。

さらに突然行動するのはよくあることだが、無言でことを進めたのは今までの中では、なかった。

それがさらにどうしようもない不安を誘う。



かさり


俯いていたの耳に微かな足音。

それに政宗が帰ってきたのだと思い、ばっと顔をあげ、名を呼ぶ。

「!まさ・・・」

が、そこにいたのは複数の男性たちで。

自分の主でなかったことに溜息を吐き、再び俯き政宗を待つ。

「嬢ちゃん。何溜息ついてんだい?」

(・・・本当にどうしたんだろう・・・政宗様)

「よかったら、俺らが話し聞いてあげるよ?」

(・・・誰かに喧嘩しかけてたりとか・・・。)

「俺らに話してみなよ。」

(・・・なんか簡単に想像出来るんですけど?!・・・)

「嬢ちゃん?・・・聞いてんのか?」

(どっ、どうしよう、あの人ならやりかねないよね?!小十郎様呼びに行くべき?!)

「おいっ!聞いてんのか!?」

ぐいと引っ張られた腕に驚きたたらを踏む

その動作に再び先ほどよりも強く腕が引かれる。

「ふわっ、なっ、何ですか?」

びくびくと肩を震わすにその男たちは嫌な笑いをもらす。

「俺らと一緒に来なよ。話し聞いてあげるからさ!」

強くなっていく力には恐怖を感じ身をよじる。

「けっ、結構、です!」

「そんなこと言わないでさ。」

「ひっ、人を待ってますから!」

「そんなこと言ってさ、さっきから見てたけど嬢ちゃんずっと一人だったよね。

          

        置いてかれたんじゃないの?」



  どくり と胸がなった。



『置いてかれたんじゃないの?』



その言葉に鼓動が早まる。            



「そ、んな、こと、・・・。」

否定の言葉を言いたいのに出てきたのは掠れた声で。



「ほら、答えられないじゃないか。」



(ち、がう、政宗様は、待ってろって・・・!)



の頭の中が混乱する。

置いてかれてしまってはの居場所はなくなる。

それが怖くて、ありえないことだとは思っても、絶対にありえないことでもなくて。

「さあ、行こうか。」

言葉を発さなくなったの腕を先ほどと同様に引っ張る。

「っ、やっ・・・」





「はいは〜い。そこまでにしとこうか、お兄さんたち。」





否定の言葉を出そうとした

その体が男たちとは別の暖かいぬくもりに包まれた。














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