ドリーム小説






 



basara35







。戦が終わったと報告がありました。無事に戻ってくるとのことですよ。」


暗かった城に光が射した瞬間だった。

喜多は一番にに知らせてくれたのだろう。

多少の息切れに笑みを浮かべた彼女は嬉しそうに告げた。



3週間ぶりに見るその姿は、薄汚れていて。

疲れたような雰囲気を出しながらも、不適な笑みは在中で。

おかえりなさいと告げたに優しく微笑みただいまと返してくれた。

大きな手が頭を撫でる感覚に顔がほころぶ。



胸に灯る感情はおさまることを知らなくて。


帰ってきてすぐに軍議を始めた政宗たちの邪魔にならないよう、は炊事場にこもる。

たのまれたクッキーを作るためである。

本当はもっと遅くに作るはずだったのだが、喜多の計らいで作ることを許可されたのだ。


軍議が終わったのは日も暮れた頃。

政宗たちが帰ってきたのは日がまだ頂上にある頃だ。

随分と時間は過ぎていた。

政宗に呼ばれ、寝室に向かう。

襖の前に立ち、深呼吸を一つ。

声を掛けようと口を開いた瞬間。

がらりと襖が開いた。

そこから出てきたのは艶やかなる女性。

色とりどりの布に包まれるは、豊満であろう肉体。

結い上げられた髪は女性である、にもぞくりとした何かを感じさせる。

「あら。かわいらしいお方。旦那様に御用ですのね?」

口からこぼれ出たそれらも、あまりにも完璧で。

(き、れい、なひと)

声が出せないに代わり室内にいた主が声を出す。

。What?はいってこい。」

「・・・は、い。」

「では、旦那様。お暇させていただきます。次もどうぞご贔屓に。」

整った顔に柔らかな笑みを乗せ、その女性は去っていった。

その姿を見送りながらは思う。

(そう、だよね・・・。)

政宗は仮にも一国の主。

だけれどもその前に一人の男。

そのような相手も必要であろう。

?」

入ってこないに怪訝そうな声がかけられた。

待ち望んでいたはずの声。

思い出すのは先ほどの女性。

混乱する頭に必死で言い聞かせる。

胸に宿る鈍い痛みには気づかぬふりをして。

と政宗の二人は縁側で隣り合い話をする。

傍らには、お茶との作ったクッキー。


「武田と上杉の戦に介入してきた。」

「・・・政宗様。それ、介入というか乱入じゃ・・・。」

の言葉を総無視し、政宗は続ける。

「軍神と、甲斐の虎の一騎打ち真っ只中だったときだ。顔面に紫のマスクをつけた男がその戦いに乱入しやがった。

大将二人とも命は無事だが、重態だ。とても動ける状態じゃねえ。」

(顔面に、紫色のマスク・・・て、何だろう・・・。ってそれより)

上杉謙信と武田信玄の戦い。

川中島の戦い。

それは、歴史にそこまで詳しくないにもわかる単語。

だが、そこに伊達政宗は介入してるはずはない。

それどころか時代が食い違ってたはずだ。

もう一つ言えば、他の国が介入したという話も聞いたことはない。

それはつまり、証明。

の記憶にあるものは全く役に立たないということの。

「政宗様。・・・どうして私にその話を?」

ふと浮かんだ考えをそのまま口に出す。

それにAh〜とか何とか呟いた後、口を開いた。

が随分心配してたと聞いた。あるやつに、もう少し気にかけてやれといわれた!」

それだけだ、と言いあさっての方向を向く政宗。

(・・・それって・・・)

どうしようもなく顔が赤くなる。

心配していてくれたのだと、それにうれしさがこみ上げる。


『あるやつ』という単語になぜか思い出した先ほどの女性を必死で打ち消して。


















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