ドリーム小説
BASARA 37
広い部屋に、7人の人物が集っていた。
一番上座に座るは、この米沢城の城主である、奥州筆頭伊達政宗。
そのそばに控えるは竜の右目こと、片倉小十郎。
逆側には柔和な雰囲気を与える、鬼庭綱元
そして伊達三傑の最後の一人、伊達成実であった。
その三人に向かい合うようにして座るは武田からの使者であり紅蓮の虎とも呼ばれる、真田幸村。
後ろには、真田十勇士の長、猿飛佐助。
そしてもう一人、短髪で黒髪の、23,4辺りの男性がいた。
「・・・OK。それじゃあこれで依存はねえな?」
政宗の言葉に、それぞれがうなずく。
「政宗殿のお心遣い、大変感謝いたす。」
堅苦しいまでの口調で幸村は言い、軽く礼をする。それにふっと笑みを浮かべると、政宗は言った。
「OK!じゃあ今日はPartyとでもしゃれこもうじゃねえか!」
先ほどまでの雰囲気はどこへ行ったのか、政宗の楽しそうな声が部屋に響く。
「いいねいいね!さすが梵!そうとなったらさっそく準備だ!」
「私も行きます。成。」
同意した成実は、そのまま部屋を走り出て行き、それに続いて綱元も出て行った。
女中にでも知らせに言ったのだろう。
「政宗様!」
小十郎の怒声が響くも、意味がなく、幸村たちも、ほっとした雰囲気をのぞかせる。
「そういえば、真田幸村。お前甘いもんすきだったよな?」
思いついたように政宗の顔に何かをたくらむかのような笑みが浮かぶ。
「そっ、そんなことはござらぬ!武士たるもの、そのように軟弱な、あっ、甘いものなど・・・」
「いや、旦那ばれてるって・・・。」
佐助が幸村の言い訳の無意味さについてつぶやいている間に、政宗は女中を呼び出し、何事かを囁く。
それに一礼して女中は部屋を出て行った。
「政宗殿!!」
幸村の言葉を無視した政宗に少し怒りを含ませた声色で、幸村が叫ぶが、政宗は気にもかけずに話を続けた。
「今女中にinterestingなものを持ってこさせるから楽しみにしておけ。」
「いんた・・・なんでござるか?」
その言葉に幸村は怒りを忘れ首を傾げる。
そんな彼に今まで一度も話さなかった男が言う。
「interesting・・・おもしれーもんって意味だ、幸村。」
それに政宗は怪訝そうな顔をする。
「Ah−・・・真田・・・ずっと聞こーと思ってたんだが、Who is he?」
その言葉に、幸村ではなくその男が答える。
「お初にお目にかかります。伊達政宗公。私の名は結城巴夜深ともうします。先日より幸村様の下にお仕えしております。」
その後を続けるように佐助が言う。
「この間ちょっとしたことがあって、旦那を助けてくれたんでね。今は、旦那付きの護衛だよ。」
最後に幸村は満面の笑みで
「某の大事な部下でござるよ!」
といった。
「Well・・・じゃあもう一つ聞こう。Why can you speak English?」
その言葉に答えようとした、巴夜深の耳に控えめな喜多の声が聞こえた。
「政宗様、お持ちいたしました。」
「OK. come in!」
その言葉にゆっくりと襖が開き、喜多が入ってくる。
そして、それぞれの前にクッキーを置き一礼をして出て行った。
「っつ!」
そのクッキーを見て巴夜深が驚きの表情を浮かべる。
その様子に微かに目を細めて政宗が口を開いた。
「What?どうかしたのか、巴夜深。」
「っ、政宗公。これを作ったものにお会いしたい。」
政宗の瞳に剣呑な光が宿る。
「Why?理由がわからねぇなぁ。」
巴夜深は俯いて言葉を発する。
「俺は・・・。」
「What!?」
次の瞬間巴夜深は目にも留まらぬ速さで動き出した。
立ち上がり、襖を開け、その場から走り出す。
本当に一瞬のこと。
「巴夜深!?」
主である幸村の声も聞きはしない。
「きさま!」
小十郎の声がその場に響くがその声が届く前に巴夜深はその場から姿をけしていた。
「佐助!」
「了解旦那。」
舌打ちをこぼした佐助が了承の声と共に姿を消したのと、政宗が部屋を出て行ったのは同時だった。
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