ドリーム小説
BASARA40
「その後、田舎の父さんのとこに行こうと、車を走らせればトラックの横転に巻き込まれ車は炎上。
俺は気づけばこの世界にいた。」
「私は、学校から帰る途中すごい雨で、雨宿りしたら雷が落ちて・・・目が覚めたらここにいたの。」
と巴夜深向かい合って座り話し合う。
政宗の配慮により部屋を用意してもらったのだ。
二人で話せばいいといわれたが、世話になっている身であり、また政宗たちにも知っていてほしいとのことで、今ここにいるのは二人と政宗に小十郎、そして、幸村に佐助である。
二人の話を無言で聞く面々。
ふと思い出されらのは夢。
「私、一度だけ、自分の世界の夢を見たの。そこに、巴夜深にいはいなくて、灯兎に聞いても、クラスメイトに聞いても、・・・お母さんたちも知らないって・・・。」
毒で寝込んでいたときに見たもの。
あの時は何の夢を見たか覚えていなかったけれども、巴夜深を見て思い出した。
「にいがどこにもいなくて・・・自分がおかしいのかどうかって思うようになってっ・・・。」
その名を告げたときの弟の顔。
怪訝そうに顔をしかめて、
誰?と口に出した。
ぎゅぅと着物のすそを掴んで言う。
巴夜深はその手をそっと解いて握り締める。
ゆっくりと巴夜深が口を開く。
「幸村のところで、ずっと探してたんだ。元の世界に帰る方法。」
「っつ!」
肩をびくりと震わせたから目をそらし巴夜深は続ける。
「でも・・・見つからなかった。かわりに見つかったのは、俺らと同じようにこの世界に来て、そのままこの世界で一生を終えた人の、記述、だった・・・。」
佐助と幸村が静かに目を伏せた。
その言葉は鈍い痛みに変わり
「それって、まさ、か・・・。」
「俺らは帰れねぇよ・・・元の世界へは・・・。」
胸に突き刺さった
目の前が真っ暗になった。
今巴夜深は何と言った?
元 の 世 界 に は 返 れ な い
ふらりとよろけた体を暖かい手が支えた。
「。」
「政宗、さま・・・。」
支えたのはこの世界でという存在を確証してくれた人。
ふらり揺れる体を抑え、一人で立つ。
「っ「政宗様、仕事に戻ります。何かあったらお呼びください・・・。」・・・。」
そう言って先ほど中断していた庭掃除へと向かった。
「!」
後ろから掛けられた声はどこか遠い出来事のようで。
「政宗公。大丈夫だ。今はほおっておいてやって欲しい。あいつはいつも何かあったとき、ああやって整理するから。」
巴夜深の言葉にさえその耳は機能を果たさない。
ただの頭を占めるのは
混乱と恐怖。
帰る場所のなくったこの身をどうすることができましょうか。
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