ドリーム小説
BASARA44
伊達と真田の連合軍。
対するは豊臣軍。
決戦の幕は上がった。
「Are you ready!?」
「「「「Year!」」」」
戦況は上々。
こちらの軍が豊臣を押している。
それでも被害は小さくはなく、辺りは紅に染まっている。
小十郎だけを共に戦場を駆け巡る。
「覇王、っていったか?豊臣のおっさんよ。」
「竜の子わつばに負けるほど弱くはない。」
その声により始まったfight.
接戦の末討ち取るは豊臣の首。
「豊臣秀吉、討ち取ったり!!」
俺のその声によりいたるところから歓声が上がる。
そう このときの一瞬の油断があの結果を招いてしまったのだ。
はっとした耳に聞こえるは何かのしなるような音。
反射的にそこを飛び退き構える。
今までいた場所に刃が突き刺さっていた。
そこにいたのは紫のマスクをつけた男。
「竹中半兵衛、か?」
「そのとおり。僕は豊臣軍軍師竹中半兵衛。・・・秀吉に止めを刺したのは君だね?」
笑ってはいるが目は笑うことなく政宗だけに視線を注ぎ。
「Yes,ったらどうすんだ?」
にこりと言う効果音がつきそうな顔で微笑んだそいつ。
マスクに隠れていても解るほど顔色が悪い。
「僕がそばについていればこんなことにはならなかった。僕の体が・・・」
「はっ。負け惜しみか?」
最後に呟かれた言葉はこちらに届く前に地面に落ちて。
政宗の言葉に一度目を閉じるとゆっくりと開く。
「そうとられてもかまわないよ。僕がもっとしっかりしていればこんなことにはならなかったのだから。」
「・・・何が言いたい・・・。」
低い声でうなるように出された声。
「僕は君に聞きたいことがある。」
「What?」
「・・・理解できる言葉ではなしてほしいんだけどね。・・・なんで君はあの子を利用してないのかと思ってね。」
「Ha?利用?何のことだ。」
頭に一瞬浮かんだ一人の少女
「あれ?まさか知らないのかな?」
薄ら笑いを浮かべる半兵衛は再び口を開いた。
「君のところにいる、異世界の、否、未来から来た少女のことだよ。」
何故知っているのかと言う疑問よりも先に、未来と言う言葉が強く響いた。
「知らないようだね。それじゃあ、もう君には
よ う は な い 」
ひゅっと空気が揺らぐそれにはっと動くが、
お そ か っ た。
目の前が真っ赤に染まる。
呼吸が止まる。
体がきしむ。
空気が漏れる。
思い出されるそれらは走馬燈のよう
奥州の地
家臣たち
そして、身を守る術も待たぬくせにどこか強い一人の少女。
「おやすみ。若き竜。」
そこで意識はブラックアウト
姿の見えなくなった政宗に微かな胸騒ぎを感じながら幸村は戦場を駆けていた。
そうして上がった時の声に大きな安堵を感じ、その声の元へと向かった。
「旦那!」
音も無く降り立つ腹心の部下。
その姿を見、微かな笑みを浮かべる。
「無事だったか佐助。」
「もっちろん。馬鹿にしないでよね〜、旦那。」
佐助はそう言いながらいつものように飄々と笑う。
そのいつもどうりの姿に心底安心する。
「旦那、早く独眼竜の旦那のとこに行ったほうがいい。」
だがすぐさま笑みを消してそう口に出した佐助に疑問を感じるよりも先に体が動いた。
先ほどまでよりも速い速度で馬を走らせる。
「佐助!政宗殿のところまで案内しろ!」
「了解、旦那!」
それは先ほどの胸騒ぎと同様のもの。
体を走るは違和感。
あるはずのものがない。
そんな違和感。
「旦那。豊臣の軍師がいなかった。」
上空からの道案内の合間に聞こえたそれに、戦慄が背筋を駆け巡る。
先ほど小十郎や成実たちが闘っているのを見た。
それはおそらく政宗が1人で豊臣秀吉の元へ向かったということだろう。
1人で闘い、そうして勝利こそすれ満身創痍であろう。
もしそこで豊臣の軍師と出会っていたら。
そうして場違いなことも考えた。
もし彼女が政宗を失ったらどんなに悲しむのだろうか、などということを。
小十郎でもなく、成実でもなく、綱元でもなく。
なぜか彼女が頭に浮かんだ。
巴夜深と同じ場所から来た弱き少女。
なのに強い瞳の少女。
その姿は凛としてどうしてか目が引き寄せられる。
巴夜深が大切に大切に思う少女。
どうか穢れなきままでいて欲しいと願ってしまう。
この戦乱の世で。
「っ、政宗殿!!」
たどり着いた豊臣の本陣。
崩れ落ちる蒼き竜。
止めを刺す寸前だったのであろう、軍師は1人の忍と共に消え失せて。
ああ彼女は悲しむのであろう。
政宗の腹心の部下たちの声を遠くに聞きながら再びそんなことを思っていた。
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