ドリーム小説
BASARA50
−戦−
この世界に来てから今最もそれらを身近に感じている。
急襲の報告を受けたあとの動きは早かった。
もともと攻められることを考慮していたのであろう。
籠城の為の準備はできていたようで、すぐさま門は閉められた。
城下の民にも知らせは行ってるようで、そのことに関しては大丈夫とのこと。
相も変わらず眠り続けている政宗。
その部屋にはと綱元がいた。
人工的な音が絶えず聞こえる。
遠くから轟音が聞こえるたびに身をすくませる。
そんなを見て綱元は微笑む。
「大丈夫です。。ここには来ません。成が、こじゅが、それに幸達が止めますから。」
この緊迫した空気の中でも、いつもと変わらない笑みを浮かべる綱元にもほんの微かな笑みを浮かべる。
にとっては本当に初めての戦。
遠くで交わされている金属音に、爆発音に、人が死んでいってると感じると心臓がすくみそうになる。
(これが、私が生きると決めた世界・・・。)
僅かに体が震えた。
それを手を握り締めることでこらえて。
綱元へと目を向ける。
主を守るためにここにいる彼はさしたる緊張感も感じさせずそこにいた。
それはきっと信頼から来るものだろう。
「・・・綱元様・・・。」
「ん?なんだい。」
「・・・私には何ができるでしょうか。」
微かに首を傾げ続きを促す綱元。
そっと畳を見つめては続けた。
「私がこの世界でできることは何でしょうか?」
それに綱元はその糸目を微かに開けて。
「どうして、そんなこと聞くの?」
「・・・解らないんです。ここにはいたいのに、役に立てることが見つからない・・・。」
ずっと考えていた。
私にできること。
でもそれは見つからなくて。
解らなくて。
卑怯とは解ってはいたが尋ねた問いに、綱元の答えはいたってシンプルだった。
「ならばこれから探しましょう。」
「・・・え?」
「解らないのであれば探せばいいのです。」
「それはあなたがここにいる理由になりませんか?」
「あなたは今ここにいます。」
綱元はそこで言葉を区切りとても綺麗に笑った。
「それはあなたができることの一つです。」
深く響くその言葉にの中で何かが変わった。
(私ができることはほとんど無い。それならば、せめて、この方の傍に。)
を見ていた綱元はその微かなの変化に微笑んだ。
そして
ふわり綺麗な笑みが
き え た
がたん
音と同時に揺れる部屋。
一瞬で目の前に現れた黒い装束の忍。
それが一瞬で赤く染まった。
目の前の赤色には息を呑む。
この赤は一体、
なに
綱元に目線を向ければ赤く鈍る刀。
「殿に触んじゃねえよ。この下種が。」
「ちっ、黒脛布組は何をしている。」
天井を見上げるその瞳は開いていて、鋭く。
いつもとは全く違う口調。
雰囲気。
それに呑まれる様に体が震えて。
目の端でそんなをちらりと見た。
「。殿を頼みます。」
一瞬だけ浮かべたいつもの笑み。
それは瞬きのうちに消えて。
出て行った綱元が向かった方向から幾らかの金属音が聞こえた。
ぞくり
背中を走る悪寒にとっさに政宗を抱きしめた。
と、同時に部屋を突風が走る。
その強さに思わず瞑った目。
次いで開いたそこに映ったのはまた
彼女だった。
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