ドリーム小説













BASARA53



「えらく派手な目覚ましじゃねぇか。まあいい。It's a show time!」



声が。

  姿が。

   全てがあなたを肯定して確立させる。


  あなたがいる それだけで世界が変わる。


今まで寝ていたとは思えないほどの俊敏な動きで政宗は刀を振るう。
その刀は短刀であるにもかかわらず菫の動きにあわせて動く。
その姿はまさしく竜。
刀さばきはまるで舞うかのように。


獰猛な中にある冷静さ。

瞳は鋭く相手を見逃すことは無く。


何度も刃を交じわせ離れる。
繰り返し繰り返し。
そのうち互角だった二人が政宗に傾きだす。
それは菫の体力の問題か、はたまた政宗の体が完全なる覚醒を遂げたからか。
一瞬間を取ったように見えた二人。
「っつ!」
と息つく暇も無く政宗が菫の懐に入り込む。
それに反応しぐんと後ろへと下がった菫。
だが政宗の速さはそれ以上で。
振り上げられた短刀に咄嗟にくないで防いだ。

が。

カラン

菫の握っていたくないが政宗によって弾き飛ばされる。
そのすぐ後に振り下ろされた短刀に間一髪でよける菫。

彼女は手から落とした武器を拾うこともせず。

「ちっ。」
舌打ちの後こちらを向いた菫がすばやく私へと向かう。
「ぇ、・・・?」
それは私を捉えるため。
そう感じたは咄嗟に後ろに下がる。
でも菫のスピードに適うはずも無く。

伸ばされた手に恐怖を感じた。

ふわり

その手の代わりに優しい風が吹いて。
温もりに包まれて。
聞こえた声は


「あんた。あたしのになにしてんのさ。」

懐かしい声。

「え・・・?」
顔を上げたそこにいたのはこの世界で始めにを見つけた人。

「梅さ、ん?」

「ああ。そうだよ。久しぶりだ、。」

相変わらず綺麗な笑みで彼女は答えた。

すぐさま菫は部屋から出て行った。
それを見た政宗は梅に命じる。

「梅。追え。」
「あたしはのために動くんだからね。」

言葉数少なく交わされたそれをが理解するよりも早く菫はその場から消えた。



「・・・はぁ。」
小さく聞こえた溜息に金縛りに合ったかのように動かなかった体がようやく機能を開始した。
ゆっくりと政宗へと視線を向ける。

その視線に気づいたように政宗もまたを見て。
どことなく気まずげな表情で、そっとに近づいた。


「・・・。」

微かに戸惑ったような間の後ゆっくりと呼ばれる名前。
それは紛れも無くのもので。


「まさ、むねさ、ま・・・。」


 伸ばした手

   感じる熱

    柔らかな温もり

 イ ト オ シ イ コ エ



それがどうしようもなく嬉しくて。

「っ、まさむねさまっ!!」

  溢れ出る思いを

「まさむねっ、さま・・・」

   零れる涙を

「まさむねさまぁっ!!」

名前を呼ぶことで鎮めようと必死に名前を呼んで。

   「。」

優しい声に思わずその人に すがり付いて

そうすることでその存在を確かめて。

「まさむねさま、まさむねさまっ」

ぎゅうとその体を抱きしめて。


。悪かった。心配かけたな。」

返事が返ってくることが途方も無く嬉しい。

「政宗様っ・・・。」



かみさま かみさま どうかこのひとをわたしからとりあげないで
わたしはこのひとのそばにいるために ここにいるのです







(・・・ほんとやになっちゃうね。)

聞こえた悲鳴。
思わず駆けつけたそこ。

その声の持ち主は無事だった。
彼女を助けたであろう男と共に。

(旦那の前では泣くんだね。)

独眼竜の旦那にすがり付いて。
肩を震わせ。
決して見せることの無かった涙はその場所でだけ。

(俺様じゃ、だめってことかねぇ・・・。)

微かに気づきかけたその思いはそっと蓋を閉めて。

(まあ。俺様はちゃんが幸せならいいんだけどね。)

大丈夫。

まだ引き返せるから。

この思いはまだ

 コ イ ジ ャ ナ イ 

たとえるなら妹のよう。 
他の人より近い女の子。
そう ただ それだけ。


佐助は再び戦場へと舞い戻った。








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