ドリーム小説
BASARA55
交わされる刃
流れる太刀筋
鋭い視線
政宗は先ほど生死の世界から回復したばかり。
対する半兵衛の方が一見有利に見えたその闘い。
決着は意外な形で幕を下ろされて。
距離をとった政宗に振り下ろされる半兵衛の刃。
それは自在に向きを変え政宗に襲い掛かる。
咄嗟のところで何度もかわすが、如何せんどんなに元気に見えようと政宗は先ほどまで眠っていたのだ。
そのために体力もいつもに比べればとても少ない。
しかもかわしたところですぐに、次の斬劇が来る。
事前に釘を刺した所為か、綱元も動くに動けない。
「っ!!」
遂に刃が足をえぐった。
溢れる赤。
その場に思わず座り込む政宗。
「「政宗様っ!」」
綱元の声との声が重なる。
思わず駆け出そうとするは巴夜深に止められて。
再び近づいていく刃に政宗は動けず、綱元が動くには遠すぎた。
と 不意に政宗がその刃を 掴んだ。
「なにっ?!」
驚きの顔を浮かべた半兵衛に政宗はにやりと笑い。
そのままで半兵衛の懐に入り込むと思い切りその腹をけりつけた。
「ぐうっ!」
「半兵衛様っ!?」
とばされ、崩れ落ちる体
からんと落ちた仮面。
蒼白い顔色。
それに駆け寄る影。
その影はすばやく半兵衛の体を抱き上げた。
と半兵衛の口からは鮮血が零れて。
「・・・ごほっ、ごほっ、っはな、せっ、すみ、れ!!」
咳き込む際中にも赤は溢れて。
それを見た菫は恐怖を顔に浮かべると政宗を睨みつけながら口を開いた。
「あなたの勝ちよ!独眼竜!!」
そうとだけ言うとその影は何かを投げつけすぐさまその場から消えた。
「逃がすかっ!!」
「Wait.」
あたり一面の煙に身動きが取れないにもかかわらず、それを追おうとした綱元。
かけられるは静止の声。
止まる綱元の体。
「追う必要はねえよ。」
「ですが、殿・・・。」
困惑する顔。
「くどい。」
「・・・。」
それでも政宗はそう告げた。
そこに残ったのは紫の仮面だけだった。
「政宗様、無事お目覚めになられてこの小十郎心の底より安堵しております。」
「梵がぶじでよかったよ〜結構心配したんだからね。」
「政宗殿!ご無事で何よりでござった!」
煙の中駆けつけてきた小十郎に成実。
そして真田主従。
彼らは皆政宗を見、安堵していた。
その姿に、声に、いつもと同じ不敵な笑みに。
「Ha!まさかあれ位で俺がくたばるとでも思ってたのか?」
憎まれ口ともいえるそれらをこぼすことに再び一同は安堵の溜息をついた。
結局この戦は伊達、真田軍の勝利で終わった。
相手の軍が得意とした爆発により多大な被害を受けた城だったが何とか修復もできそうで。
「相手は恐らく松永軍です。」
集った面々。
それは政宗も交えて。
始めに口を開いたのは綱元。
独自の調査によるものか相手を特定していた。
「松永軍?」
「はい。」
その名はあまり知られていないせいか、成実が聞き返した。
「最近出てきたんだよね〜。珍しいものに興味があるが天下争いにはたいして執着していない。俺様の包囲網からの情報だよ。・・・だから今回の出軍はおかしくも感じるけど・・・。」
佐助が幸村の背後に控えたまま口を開いた。
「恐らく、何かを条件に竹中に使われのでしょう。」
小十郎もそれにつづく。
「・・・その何かはおそらく・・・。」
「、か。」「・・・。」
口ごもる幸村に同時に返したのは政宗と巴夜深であった。
ここにいない彼女の姿を脳裏に浮かべて。
は怪我人の治療に走り回っていた。
城は大きく壊され被害も酷い。
そうした中でにできることと言えば怪我人の治療だったのである。
いつもであれば鍛錬に使われるであろう道場。
今は怪我人を収容する場所となっていた。
「。」
不意にかけられた懐かしい声。
「梅さんっ!」
その人は道場の端に座り込んでいて。
いたるところに傷跡が見える。
「いまっ、治療します!」
服の下はさらに酷くいまだに赤がとまっていないところもあった。
それでも何とかそれらの傷に包帯を巻ききったはほっと一息をついた。
「このあと、ちゃんとお医者様に見てもらってくださいね。応急手当だけですから。」
「ありがとね。。」
「いえ。・・・私のほうこそ助けていただいてありがとうございました。」
「いや。あんたが無事ならそれでいいよ。」
以前と変わらぬその笑みにの強張っていた顔が微かに緩む。
「・・・梅さんは忍びだったんですね。」
微かに瞬時したあとはそっと問うた。
「んん、そうだね、忍、と言えなくも無いね。」
「・・・?」
「ふふ、私は政宗公専属の諜報員なんだよ。といっても興味のある仕事しかしないんだけどね。本業は甘味屋だからね。」
そういった後梅は微かに声を落として囁いた。
「けど、あの人の下で働けることはとても幸せなことだと思ってる。」
その顔はどことなく誇らしげで。
思わずも笑った。
「でも安心して、。そういう対象としては見てないから。」
そこまで言うと梅は立ち上がり、にじゃあと声を掛け姿を消した。
(・・・そういう対象・・・っ!?)
顔を赤く染めたを残して。
半兵衛さん扱いが酷くてごめんなさい・・・。
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