ドリーム小説










 towa12






『い〜い?。忍は簡単に自分のことを教えちゃだめだよ〜?というかむしろ、何か情報を流さないといけないときは、『嘘』を教えるぐらいでね?』


柔らかな日差し。
ふわふわ暖かい何かに包まれて、

暖かな色をまとったあなたは私にそう言って悲しげに笑いました。











「・・・部活紹介?」


猿飛からの提案を丁寧に断った次の日、月曜日のこと。
学校であきはの口から出たその単語。

「うん、そうなの!だから今日の午後から授業はないの!」


ふわり微笑む姿は花の様。
さらには金色の髪が瞬いて美しい。


「それはそれは・・・。」

はっきり言って興味がない。
だが、これはどう見ても強制参加っぽい。

ひとつ溜息をついてあきはを見やる。
きらきら目を輝かせているのは、どういうわけなのか。

「あのね、お姉ちゃんも出るの。」

ああそれが理由か。
そう思うとにこにこ笑うあきはの頭を撫でてやる。

「あきははかすが先輩が本当に好きなんだね。」

「うんっ、大好き!」


それはあたかも恋をしているかのようで。

(・・・周りの男どもの視線がいたい。)

あきはの姉であるかすが。

さらりと流れる金髪

制服越しに見える豊満なボディ

射抜くような鋭い目つき

何より、整った顔


道を歩けば10人中10人が振り返るであろうその人。


そんな彼女は高嶺の花


だが彼女の妹であるあきは。

彼女はかすがよりも2つほど年下の所為か、はたまたからりとした性格の所為か
(恐らく後者であろう。)
かすがよりも手がとどく存在として見られているようだ。




その証拠にあきはといるといつでも視線を感じる。


(・・・まあ、あきは可愛いから仕方ないか。)


担当の教員が来たからあきはの後姿を見ながらそう結論付けると、1時間目の用意(ちなみに日本史だ。)をしながら前に向き直った。








そんなこんなでお昼をすましたあと、あきはと共に体育館に向っていた。

「・・・無駄にマンモス校め・・・。」


まるで朝の通勤ラッシュのような人の数に眩暈が起こりそうになる。
横でくすくす笑うあきはをちらりと見て仕方なく歩みを続けた。





「我は生徒会長の毛利元就だ。使えぬ駒はいらぬ。」

(最初の紹介が生徒会ですか、そうですか・・・。)

一斉に沸き起こる黄色い声。

「・・・はっきり言って何がいいのか全く解らん。」


隠すことなく溜息を落として、檀上の男を見る。


ほんの一瞬のこと。

  ぱちり


思わず目を逸らす。
一瞬目があったように見えたのは錯覚だ。


絶対に錯覚だ。




なんか頭の中にあの人がおくらのような帽子をかぶり、緑で身を包み日輪に向って拝んでいるような光景が浮かび上がったのは、絶対に錯覚だ!!



必死で自分に言い聞かす。


次いで現れたのはとても綺麗な先輩。
儚い、という表現がとても似合う。
白い肌は長い黒髪によって純白を思わせる。
俯き伏せ目がちなその様子は恥らう乙女の様。

周りからほう、という感嘆の溜息が聞こえた。

「・・・はじめ、まして。」

その声はまるで最良の音楽。
大きな声ではないのに、この場に深く刻まれる。
まるでその空間だけが別世界の様。

「・・・市、の部活に、はいって・・・。」

俯きがちなその顔が微かに上がるとふわり、微かに微笑んだように見えた。

「待ってる、から・・・。」

そこまで言ってその先輩(恐らく市という名前。)は檀上から去っていった。



  何の部活かも言っていないが。


(すごいたくさん、入りそうだ・・・。)

そう思わせるほど周りの歓声がすごかった。


(・・・料理部かなんかか?)







その後も幾人かの先輩と見られる人物たちが壇上に立つ。

話されるのはその部活や委員会の活動内容だったり、雰囲気だったり。


と、先程までよりも大きな悲鳴が上がる。
それにつられて目をやれば

  鮮やかな
   
    夕日色


「はいは〜い。新入生の皆さん始めましてだねえ〜。俺様たちは新聞部だよ〜。」


    その声に

   橙色に

 
 思わず目が引かれる。

微かに心が音を立てる。

不意に、目が合った。

その瞬間その顔が


不適な微笑を形作る。

「っ!」
 
かあ、と上がる体温に、思わず目を逸らす。

ぎうと胸が苦しくなる。
(こんなの、知らないっ・・・)
胸に宿る知らない感情。

 見たい

  見たくない

 話したい

  話したくない

二つの相反する気持ちがせめぎあう。
さらにぎうと強く胸元を握り締める。

(ああもうなんだこれなんだこれしらないこんなじぶんしらないぜんぶあのせんぱいのせいだ)

睨みつけるように再び檀上を見れば佐助の視線はこちらには向いていなくて。

ちくりと小さな痛みが胸に起こる。
そっと彼から目を逸らす。

すると逸らした先には赤髪の男。


(あ、小太郎先輩だ・・・。)

意識的に佐助を見ないようにしているとゆらり、小太郎は身じろぎをしてこちらを見た。


視線が交わった。

ふわり

少し優しくなった気配に思わず顔がほころぶ。

先程の佐助との違いに違和感を感じながら。



かすがの新体操部の説明も終わり、予定表によるとあと二つ。

残るは運動部のメインともいえる、サッカー部と野球部だ。


(・・・帰り、たい。)


脳裏に浮かぶ苦手な先輩に今日何度目になるかもわからない溜息を吐いた。




「Hey!俺らは野球部だ!」



絶対に目を合わせない。

それがにとって、今出来る精一杯の抵抗だ。
がんがんに目線を感じるのは(これもまた)気のせいだ。
まるで人気アイドルのコンサートのような歓声にうんざりする。

政宗が野球部の説明をしている後ろで強面のリーゼントの軍団がキャッチボールを行っている。


 しかも  全 力 投 球 だ。

      こんなところで。





顔を引きつらせながらそれらを眺めていれば一つのボールが大きく脇にそれる。


其れはこちらに向ってきていて。


その方向は___


ざわり揺れる空気

騒がしくなる周り



無意識の行動



「っ!あきはっ、あぶなっ!!」

思わず引き寄せたその体。
微かに胸の中で息を呑む気配。


ちゃん!!」


その言葉と思い衝撃を最後にあたしの意識はブラックアウトした。




















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