ドリーム小説
towa 17
「。」
「!かすがさんっ!」
庭で鍛練をしていれば不意に呼ばれた名前。
みればそこには豊満な体に黒い忍び服をまとった金髪の美女。
彼女は音を立てずに着地したところだった。
ふわり髪が風になびいて美しさを引き立てる。
近づいていけば優しく微笑まれて頭をなでられる。
「頑張っているようだな。」
それにうなずく。
「無理は、してないか?」
心配そうな顔すらきれいだ。
「あたしは自分が望むままにやっているのです。あたしを助けてくださった長や主に恩を返したいのです!」
これはが望むこと。
強くなって大好きな彼らに、大切な彼らに恩を返すこと。
それがの望み。
「がそういうなら私は何も言わない。だが、何かあったらすぐに私に言いえばいい。あいつらには言いにくいことだってあるだろう?」
しかたないなあ、という風にかすがはそう言った。
「あ!かすがじゃ〜ん!なになに?俺様に会いに来たの?」
「・・・あいつに何かされたら私にすぐに言うんだぞ。」
向こうからやってきた橙にかすがはまじめにの肩をつかんで諭すように訴えてきた。
それは温かな日々
何気ない日常
遥か彼方の記憶
「・・・」
頭痛い。
最近頭痛で目が覚めてばっかりで。
痛みをこらえて起き上がる。
見た夢を思い出そうとすれば頭痛はひどくなるのは最近の経験から学習済みなので思い出すのを早々にあきらめる。
ぐっと伸びをして学校に行く準備。
最近は小太郎と一緒に朝を過ごしたいがため早く学校に行くことにしているは早々と着替え行く準備を整えた。
「小太郎先輩は新聞部でしたっけ?」
朝の誰もいない静けさの中教室の黒板を掃除している小太郎には尋ねた。
こくりうなずくその姿は大変癒される。
どうして?
と目線で問いかけられたのを感じて苦笑する。
「この学校、部活動必須ってきいたんですけど、あたしあんまり入る気ないんですよね・・・」
この学校は全ての生徒に部活動に入ることを押しているのだ。
まあ、いずれか例外はいるようだが。
「新聞部に入らない?」
黒板にそう書かれた文字に少しときめく。のだが。
「いいなあ、とは思うんですけど・・・確か猿飛先輩がいらっしゃるんじゃなかったですっけ?」
それに再びこくり頷く小太郎。
の脳裏に橙色がうかぶ。
それは鮮やかにの記憶に染みついていて。
あの日桜の木の下で会ったとき
いや、それよりもずっとずっと前から知っているような。
懐かしいような言いきることができないような感覚。
それは同時に言い知れぬ不安をももたらして。
そっと頭に温かいもの。
みればそれは温かな小太郎の手で。
ぽんぽんと優しく叩かれて、そのぬくもりに安心した。
あの人に会いたくないというわけじゃないのに、会うのが怖いと思うのだ。
理由なんてわからなくて。
だからこそ彼を避けてしまうのだ。
彼の笑顔を見るたびに胸が苦しくなるのだ。
胸の奥で橙色が揺らめくの。
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