ドリーム小説




towa 20









「・・・・・・」

「・・・・・・」

部屋に広がる無言。
は体中から噴き出る汗をどうしようかと思っていた。
目の前には様々な書類とにらめっこを続ける男。

「ええと、あの・・・生徒会長?」

「なんだ。」

意を決して呼べば、こちらを見ないまま彼は返事を返す。

「なんで、あたしはここにいるんでしょうか・・・?」

そうそれは放課後のこと。

今日はバイトがないからゆっくりと家で過ごそうと、教室から出たを待っていたのはこの男、毛利元就であった。
連れられてやってきた生徒会室に二人はいた。

ちらりようやっとこちらを見たと思えば、彼は手に持っていた書類をこちらに突き出して言った。

「これを分類してわかりやすくまとめよ。」

命令口調のそれにえ、と声をあげればじろり睨むように見られて。

あわてて椅子に座り書類に目を通しだした。

莫大な量のそれをなんとかあと数枚というところまでやってそうして気づいた。

なんでこんなことをしているのか。

再び元就を見る。

夕方少し紅く染まった太陽がとてもよく似合うその男はきれいな顔をしかめたまま、今度はパソコンに目をやっていた。

が、の視線に気づいたようにこちらを見てきて。

目が合えばそのきれいな口元から声が発せられる。

「終わったのか?」

それに首を振ればさっさと終わらせろと言われて。

それでも見つめ続けていればため息。

目線でなんだ、と問われてような気がして。

気がつけば声は漏れていた。


「・・・なんで、あたしなんですか?」


他にも手伝う人なら多数いるだろうに、彼が使っているのはである。

それに不思議さを感じてならない。

尋ねればいたって当然、とでもいうような顔をされて。


「お前がだからだ。」


そんな意味のわからない言葉を吐かれた。

どういうことかと尋ね返そうとすれば、がらり勢いよく扉が開かれて。


「元就!頼まれてたやつ終わったぞ!」


そこにはこの間見た左目眼帯のごつい男。

一瞬目があったかと思えばにかり笑われて。

「あんときの嬢ちゃんじゃねえか!」

元気だったかだとか何とか聞かれながら頭をなでまわされた。

「さっさとしろ、元親。」

それを中断する言葉は元就のもの。

それに彼、元親は苦笑して。

「少しぐらいいいじゃねえか、元就。あ、俺は長曾我部元親だ。嬢ちゃんは?」

「え、あ、、です。」

それにかれは驚いたように目を見開いて、そして懐かしそうに笑った。

「そうか、よろしくな!!」

そのあと元親が元就にこき使われる様をはただ傍観していた。




向けられた視線はとても優しく、なつかしむようで。

なんでそんな顔するんですか・・・?

心の中に生まれた問の答えは見つからない。














「おぬしは武田の忍びか。」

「いえ、真田の忍びです。と申します。この度は書簡をお届けにまいりました。」

「うけとろう。」

大切なあの場所から離れては今この場所、安芸に来ていた。

それも主である幸村からの書簡を携えて。

以前より国交があったこの国と、魔王に対抗するために同盟を組もうというものである。

「できればお早めに返事の方を承りたく思っております。」

「ふん。」

しばし考え込むように書簡を眺めていた元就。

緑の着流しに身を包み、太陽の当たるところでその端正な顔をさらけ出す。

(きれいな顔。)

そう思いながらその顔を見続けるが、頭に浮かぶのは橙色のあの人で。

今頃まら主の我がままにこたえるために奔放しているのだろう彼が簡単に想像できふ、と微笑む。

「・・・何を笑っておるのだ忍び。」

微かな怒りを含んだその声にあわてて頭を下げる。

この人を怒らしてしまっては主たちの計画が無駄になってしまう。
それだけは避けなければ。

そう思っての行動だったのだが、それは騒がしい音と共に遮られて。

「元就ー!!」

けたたましい騒音と共に入ってきたのは紫の眼帯男。

の頭の中でそう急に彼にの情報を引き出すための引き出しが開かれる。

「長曾我部、元親・・・」

つぶやけばそこにがいたのにやっと気づいたように彼はこちらを見て。

「あれ?もしかして来客中だったのか?」

などととぼけたことをのたまった。

「もしかしなくてもそうだ。」

元就の額のしわが深くなった。

いらいらとした表情を顔いっぱいに広がらせて元就は口を開く。

、といったか。」

「は。」

「この度の同盟、結ぼう。」

それは紛れもなく真実の言葉。

「心より感謝いたします。」

嬉しさをこらえて、言葉を絞り出した。











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