ドリーム小説
towa 29
「松永さん松永さん」
過去の呼び方で私を呼ぶのは愛しい娘
すべてを思い出したのであろうその体は小さく震え。
その身に大きすぎる痛みをこらえ。
ごめんなさいごめんなさい
その言葉にに意味などないのだろう
ごめんなさいごめんなさい
ただ繰り返されるそれが彼女の心を壊してしまわぬように
その体を優しく抱きしめた。
本当に、あの子たちはこの子を傷つけることしかしないのだから
記憶の中のこの子は、小さな体で精一杯にあの紅の若獅子を守っていた。
記憶の中のこの子は、小さいながらも、全力であの忍びについていこうとしていた。
今では親戚の関係の私たち
過去では、本当は私が拾った子。
気が向いたから拾って、面白かったから忍びの里に放り込んでみた。
もっと使えるようになれば迎えに行こうと思っていたのに、気づけばその里は襲撃され跡形もなくなっていて。
ようやっと見つけた時には武田の、真田の忍びとなっていた。
北条の忍びを使い連れてきたあの子は、まあ当然ながら私を覚えてなどいなかったが。
そう、過去ではそんな関係だったが、今は本当の親戚。
可愛い可愛い、大事な子供。
それを傷つけるのは過去も今も、あのものたちで
だが、わかっているのだ
あの子の笑みを取り戻せるのも、あのものたちでるということが
この部屋に近づく気配にため息をつき、涙を流すこの子に温かな紅茶をいれてやり、少し待つように告げて
からり
扉を開けたそこには、思っていた通りの人物だった。
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