ドリーム小説







towa-7







「まさかちゃんが松永せんせの親戚だったとはね。」


科学室から追い出されて、あきはのいる体育館に戻る道で佐助がそう呟いた。
それにもう1人の男も共感したのであろう。
頭を上下に動かしていた。

「嬉しくありません。」

そっけなくそう返事をすると、佐助はいきなりの顔を覗き込んできた。
その近さに思わず仰け反ったを気にも留めず、佐助は言った。

「それでも、ちゃんは先生のこと、別に嫌いじゃないでしょ?」
「っ、・・・。」
その言葉にどくりと心臓が一度だけ高鳴って、そうしてはその佐助の視線から逃げた。

目を合わせれば全てを暴かれてしまいそうな感覚に陥ったから。

「ところで。」

佐助が覗き込んできたことによって止まっていた、の耳に声が聞こえた。
その声の方向に目を向ければ眼帯の人。
その人はと目が合うとにやりととても楽しそうに笑って言った。

「野球部のマネージャーしねーか?」
「やりません。」

突然の勧誘。
それには即答した。

それにめげる様子も見せず、その男は続ける。

「そんなこといわねーで。」
「バイトしているので時間がありません。」

そうして押し問答をしている最中に気づいたこと。

「・・・そもそもあなただれですか?」

その当たり前の質問に男は一瞬呆気に取られたように固まった。が、次の瞬間とてもうれしそうに笑って見せた。

「Soory!俺は、伊達政宗だ。3年で野球部のキャプテンをしてる。What your name?」

「・・・。」
そう問われればそう返すしかなくて、は小さく自己紹介をした。

「OK!、ね。」
にやり、そんな効果音がよく似合う笑みを政宗は浮かべ、を見つめる。


ちゃん、俺様には紹介無し?」

蛇に睨まれた蛙の如く、がその政宗の眼光に動けないでいるとその場の雰囲気を壊すかのような一言。

「・・・へ?」
思わずもれるは間抜けな声で。
それに苦笑をもらしながら、その言葉を放った人物、佐助は再び口を開いた。


「俺様自己紹介してもらってないんだよねぇ、ちゃんに。」

そう言って、微かに俯き、体全体から悲壮感を漂わせて佐助は言った。

「独眼竜の旦那にはしてたのに、俺様にはないなんて・・・・俺様悲しいっ!」

(・・・そう言えば、言ってなかったけ?)
その佐助の発言に記憶を掘り起こせば確かに伝えた覚えは、ない。




            で も

  あ な た に は 言 わ な く て も




    ・・・・・・・・・・・
「・・・知ってるじゃないですか。あなたは、あたしのことを。」
  
       あ た し 以 上 に 

ぽろりと落ちたそんな言葉。
続いて口をついてでそうになった言葉を慌てて飲み込んだ。


(あたし、今、何を言おうとした・・・?)


    浮かぶは大きな違和感。


その言葉に含まれているそれは、まるで全く別の意味があるようで。

佐助に視線を移せば、佐助自身も微かに目を見開いていて。


背筋がぞくりとした。

そこにまるで、自分の知らない誰かがいるようで。
自分なのに、自分じゃない感覚で。

(これ、一体、何・・・?)




「政宗様。」


佐助との間に流れる違和感を断ち切ったのは、知らない声。

はっとしたがそちらを見れば、顔に傷を負った1人の男。
強面の・・・はっきり言えば、や、のつく職業についていそうな男の人がそこにいた。


「Oh・・・Sorry。小十郎。」


彼を見た瞬間、政宗はどことなく罰の悪そうな表情を浮かべて、そう言った。

「じゃあな、。野球部に入る件考えとけよ?」
「だから、はいらな「答えはまた今度でいい。OK?」・・・。」

(・・・暴君。)

の頭の中にそんな言葉が浮かぶ。
そのまま政宗はその小十郎という男のもとへ歩いていった。

「んん〜ちゃん、野球部はいるの?」

「そんなつもりはありません。」

顔をしかめて答えれば、佐助はそう、と返し再び歩き出した。

「そういえば、ちゃん、北条先生のクラスだっけ?」

どことなく重くなった雰囲気を払拭するかのように、佐助はに尋ねた。

「ええ、はい。そうですが?」

「ちょっとはやく教室に行ってみなよ。おもしろいのが見れるから、さ。」

そういって、佐助は振り返り目を細め、いたずらっ子のように笑った。












「うわっはあ!かすがちゃん!?そんなの投げたら危ないでしょう?!」
「だまれっ!!」
「うわっ!!ちょ、かすがちゃ、まじであぶなっつ!!?」
「去れっ!!」
「あ〜も〜!!仕方ない、俺様、退場っ!!」
体育館にたどり着いた途端棒などの道具が飛んで来たり、怒鳴られたり上記のようなやり取りがあったことは彼のために伏せておこう。











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