ドリーム小説














 towa 9





「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


二人の間に流れるは沈黙。
片方はクラスの前のドアを開けて今にもクラスに入ろうとしている瞬間。
もう一方は黒板消しを手に持ち上のほうを綺麗にしていた学らんの少年。
二人は向き合ったままの状態で固まっていた。






『そういえば、ちゃん、北条先生のクラスだっけ?』

『ちょっとはやく教室に行ってみなよ。おもしろいのが見れるから、さ。』


そんな佐助の言葉にたいした興味はなかったのだが、結構早く目覚め、支度もおえていたは早めに家を出て教室へと向っていた。

早すぎて誰もいない校内をは1人歩いていた。
いつもとは違いしんとした中を歩くのは新鮮で歩調がゆっくりになる。
そうしてたどり着いた自分の教室。
クラスの扉に手を掛け開け放った。


そうして、冒頭に戻る。


佐助が言っていたおもしろいものとはこの人のことであろうか。

学らんの少年は赤茶色の髪を目の辺りまで伸ばしているせいで目が見えない。
さらにはきちんと帽子までかぶっていたのでさらに表情は読み取れない。

「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」

お互いに何も話さない。
微かに聞こえるのは、運動部の朝練習の掛け声のみ。

(・・・気、まず・・・。)

の脳内にはその単語だけがぐるぐると回っていた。


「・・・・・・。」
「・・・え、と・・・。」

その沈黙に耐えられなくなったのはだった。
そっと声を絞り出してみればその少年は首をこてんと横に倒した。
否、傾げた。
その所為で、赤茶色の髪がさらりと揺れる。

(っ、)

そのかわいらしい動作に思わずは息を詰めた。

それにさらに不思議そうに首を逆の方向にこてんと倒す。

「あ、あのっ!ええと、今年からこの学園に来ました、っていいます、えと、先輩、ですよ、ね?」

思わずどもったにその人はこくり、と頷いて黒板に(今綺麗にしたばかりなのに・・・)とても綺麗な字で文字を書いた。

『風魔小太郎』

そうかかれたそれは、その人の名前なのか、は口に出した。

「、かざ、ま?」

それにふるふると首をふりその人は再び黒板に文字を書く。

『ふうまこたろう』

「風、魔先輩・・?」

何かを考え込むようにしてその人は一度俯くとずい、との前に迫って口を開いた。

『こ、た、ろ、う』

その口ぱくどおりにも口を開く。

「こ、た、ろ、う・・・先輩?」

それにこくりと頷いてその人は微かに笑った(気がした)。

『よろしく、ちゃん。』

そう書くとその人、小太郎はふにゃりと雰囲気を和らげた。







話を聞いていけば(といっても小太郎自体は話さない。口ぱくだったり文字を書いたり、だ。)どうやら小太郎はわけあって北条先生のところにお世話になってるらしい。
そのため何か役に立ちたいと思ってこうしてるとのこと。

北条先生が好きなんですね、と聞けばとてもうれしそうに頷いた。
(小太郎先輩、すごく可愛い・・・。)
















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