ドリーム小説
恋というには幼いそれは 3
ちょいちょい
そんな効果音がとても適切だ。
はそんなことを思いながら後ろからのちょっかいを無視して黒板を眺めていた。
後ろの席に銀色の髪の持ち主、仁王雅治が座るようになってからの授業中は、休み時間はなんとも過ごしにくいものとなってしまった。
と、いうのもなぜか後ろの仁王は授業中事あるごとににちょっかいを出してくるのだ。
それもとても些細な小さなものを。
たとえばの肩の下まである髪をひっぱったり
たとえばの座る椅子に何かを描いたり。
たとえばに何もせずに無言で眼見したり。
そして休み時間。
大人しくしていれば恰好いいこの男の元には毎度毎度誰かしら人が集まる。
クラスの女子だったり、他クラスの女子だったり。
それはまだいい。
きゃいきゃいと騒がしいが可愛らしいなあ、で終えることができる。
だが問題はそれ以外だ。
はキラキラしたものが嫌いだ。
というか、苦手だ。
騒がしいのも好まない。
と、いうことでこの立海大付属高校の人気者テニス部にはぶっちゃけかかわりたくないのだ。
だがこの仁王という男、見事にそれに当てはまる。
だからこそ離れたかったというのに、それはみごとに失敗して。
さらにはこの男の元に他のテニス部員たちがちらほら現れるのだ。
赤い髪のガムをかむ男だったり、わかめのような髪を持つ後輩だったり。
そのたびにざわざわする教室内。
少しすれば慣れるだろうと思ったが、甘かった。
なんともうっとうしい。
仲の良い友人はかかわりたくないとばかりにの席に近づくことはない。
なんとも薄情!
この男は何が面白くてにかかわるのか。
にはまったくもって理解不能だ。
ちょいちょい
はいままでこの仁王という男を大人びた変人だと思っていたがなんてことはない。
ただ子供っぽい変人だったのだ。
ちょいちょい
未だに引っ張られる髪を無視しながらは再び黒板に目をやった。
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