ドリーム小説




じゅう

























小さくて、可愛くて。

ほおっておけない。

俺が守ってあげなくちゃ。


その思いはやがて、愛おしいという言葉に形を変えて。




始めは単純に、俺とおんなじ境遇ならば俺が優しくしてあげようと思ったんだ。

誰もいない家に帰った時のさみしさは身にしみてるから。

でも、結局救われていたのは俺の方で。


俺の作ったご飯をおいしいと、幸せそうに褒めてくれるのとか

俺が掃除する後ろをちょこちょこついてきてる姿とか

俺が家に言った時に嬉しそうに出迎えてくれる姿だとか


俺とおんなじところに行きたいと勉強を頑張る姿とか



そんな小さなことがいっぱい重なって、それは彼女への想いに変わって。


愛おしくて、愛おしくて。

この腕の中閉じ込めて、誰にも見せないように隠してしまえたら。


何度そんな思いを必死で隠してきたことか。


まだはやい、まだはやい。

あの子はまだ、俺のことをただの御兄さんとしか思っていない。


ならばまだ、もう少し。

もっともっと、俺様に依存して、俺から離れらんなくなるまで。

じわりじわり、外堀を埋めるように、俺しか知らないように。


どろどろに甘やかせて、どうしようもないくらい、俺しか見られなくするように


優しいお兄さんなんか、仮の姿。


本当の俺様は、ずっとずっと汚くて、薄汚れていて

何時君に手をかけようかと虎視眈々と狙っているただの獣なんだよ



でも、もう少し。

もう少しだけ待ってあげる。



最初の一歩のフライングは許してよね。


 佐助兄さん

その愛らしく可愛らしい唇から俺の名が呼ばれる。

それに気分は高揚するけれど、だけどね、そろそろいいかな?


「ねえ、そろそろ佐助兄さんって呼ぶのはやめない?」


その唇から俺を肯定する言葉が発されるのは嬉しくてたまらないけれど、

君はいつまで俺をお兄さんでとどめておくのかな?

俺ははやく君に手を出したくてたまらないというのに、ねえだから。


触れた唇のあまりの柔らかさにかぶりつきたくなる衝動を抑え抑え、笑う。


ねえはやく、はやく落ちてきてよ、この腕の中に。









じゃないとおれのなかの獣がめをさましてしまうよ
















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