ドリーム小説




じゅういち
























柔らかく温かく、うっとうしいほどのこの感情。

愛しい、だなんて生ぬるい。






あの子がこの学校に入学してから、俺は必要以上に高等部との共同場所に顔を出すようになった。

けれど、なかなかあの子は見つからなくて。

最近は大学が思っていた以上に忙しいから家にも顔を出せていない。

けれども、彼女からは何の連絡もない。

教えた携帯には一度も連絡してきたことないし、彼女から俺の家に来ることもあまりない。


彼女は俺にまだまだ依存しきってはくれないみたいで。


だからこそ、不意打ちで見つけた彼女に、俺の胸はまるで年頃の女のように高鳴る。

呼んだ名前はまるで魔法のように、世界に色をつけるんだ。


鮮やかな色彩は光に満ちたように。


そっと傍に寄ってきた彼女を抱きしめたい衝動に狩られるのを必死でこらえて。


穏やかに微笑むその表情に癒される。


ぞくぞくと現れる友人たち。

本当は見せたくなどはないけれど、ずっと昔からこの子は俺のだって牽制し続けているから。

大勢に驚いたこの子がそっと俺の後ろに隠れるように身を寄せる。

微かに引っ張られた服。

そんな姿がどうしようもなく可愛くて仕方がない。




そんな姿他の奴に見せるのは許さないよ。





緩む表情をこの子から隠すように視線を移せば呆れるような表情を持った美少女。

かすががため息をつきながら俺を見ている。

ほら、可愛いだろう?

口ぱくで告げれば、またため息。

しかし俺の後ろを見て微かに緩ませる表情。


ほら、ね。


あの時の俺様はあまりにも浮かれていた、

だからこそ気がつけなかったんだ。






この子の表情が泣きそうに歪んだことを。











そんな表情をさせたいわけじゃない















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