ドリーム小説




じゅうに























久しぶりに訪れた彼女の家。

もちろん、大きな変化はなくて。

ふわりふわり嬉しそうに俺の作ったご飯を食べる。

でも、その様子はどこかおかしくて。



問い詰めてみようか。

コンマ一秒の葛藤は、彼女の必死で隠す様子に砕かれて。



そんな表情すら可愛いなんて反則。



にやけそうになる表情を隠し隠し。


そうして彼女の変化を放っておいた。



それが原因。




彼女が俺の部屋に来て、一番初めに感じたのは伊達の旦那への怒り。

あんた、俺の大事な子にいったい何してくれんの?

慌てて駆け寄った彼女。

痛みをこらえる涙目は、どうしようもなく鼓動を高めて。



だけど


「佐助兄さん」


それを聞いた瞬間、はらわたが煮えくりかえるような感覚に襲われた。


その言い方は、もうやめてくれと言ったのに。

あの時から呼ばれないままの俺の名前。


それは予想を反する形で再び言葉として発せられて。




「やっぱり、ちゃんにとって俺はただのお隣のお兄さんなんだね。」



ちりちりと胸を刺すような痛み。

怒りにも近いそれは、いうなれば絶望。


彼女は、俺のことを、一人の男として見てくれることはないのだろうか。


それでも感情を抑えながら問えば


「こた先輩」


に用事があるとのこと。



ああ、もう、いい加減にしてくれないか?

いつのまに、君は小太郎のことをそんなに親しげに呼んでるの?

俺のことは未だ兄さんとしか呼ばないというのに



いい加減に俺様も、耐えきれないよ。



あふれ出る怒りを、鎮めようとすればするほど怯える彼女に。


その姿でさえも、今の俺には怒りを誘って。



ねえ、俺を、拒否するの?


これ以上、彼女と話をすれば俺は自分をとどめておける自信がない。




けれども、離れるつもりはない。




だというのに、君は俺から距離を取ろうとした。

君は俺に、さよならをつげようとした?






そんなのは、許さないよ。





走って出て行ったあの子と小太郎。


責めるような周りの目。


だが、それに答えるつもりも何もなくて。



怒りをただ、抑えることもできなくて。










むねがいたいいたいと叫ぶ





















back/ next
戻る