ドリーム小説
なな
「かすがちゃん、ごめん!これなんだけど___」
「まったく。お前は本当に___」
その場所に立ち寄ってしまった自分に後悔した。
親しげに、二人きりで話す彼ら。
私が見たことのない表情ばかり。
嬉しそうで、楽しそうで。
私がいつも一緒にいるときは、仕方がないなあって呆れたように笑う顔ばっかりなのに。
痛い、痛い。
むねがいたい。
はりさけそうに
声を、のどが張り付いて、
言葉が出せない
苦しい、苦しい。
ふわりふわり、笑う二人。
詳しい言葉は聞こえてこない。
ただ、金色の髪の彼女が、顔を赤く染めて、とっても綺麗に笑ったり
そんな彼女に、佐助が、抱き、ついたり、
気がついたらその場所から逃げ出していて。
ぎゅうぎゅうと痛みを訴える胸が、息ができないくらいに痛いそれが、
「っ、」
視界が滲む、嗚咽が漏れる。
力が抜ける。
へたり
走って走って、息が続かなくなって。
へたり込んで次から次へと流れる涙をぬぐうこともできなくて。
がさり、
微かな音と共に現れたのは、赤褐色の髪を持った背の高い人。
その人は、確か佐助兄さんと一緒にご飯を食べていた人で。
よぎる二人の姿。
綺麗な二人。
きらきらきらきら、太陽の光が反射して。
御似合いな、二人。
「っ、ふぅ、うぇぇっ、」
そう考えた瞬間、最後の決壊が崩壊するみたいに、
声が
溢れた。
目の前の人がおろおろとしてるとか、困ったようにせわしなく手を上下させてるだとか。
そんなの別にどうでもよくて。
ただ、ふわりと体に回った体温に。
あやすように撫でられる背中に、
どうしようもない感情が溢れて。
年甲斐もなく大声で、彼に縋って泣いた。
わたしにむけられることのないえがおに、いっちょまえに嫉妬したのです
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