ドリーム小説







配達ギルドのあれこれ 










あのあと宿に戻る彼を見送って、そのままダングレストをでた。
ヘリオードへ向かいながら、先ほどの彼のことを考える。

自分が正義だと、そう思えれば楽だろうに。
そんなこと考えもしないと、そんな表情をしていた彼を。

正義か悪か、なんて、簡単に塗り替えられる世界だというのに。
きっと抱え込んだまま、一人で悩み続けるのだろう、彼は。
__自己犠牲の強い人だ。
そういう人は、自分に近しい周りが自らの行いによって同じように傷ついていくことになかなか気づけないのだろう。



明け方近くについたヘリオードにて、我がギルドヘリオード支部にて体を休めて。
さっさとノードポリカに向かうか、と外へでた瞬間。

黒髪が、いた。
なんでだよ。
私が出てきたことは予想外だったようでその瞳は一度、二度、驚いたように瞬く。

「どうしたんです、ユーリ?」

その後ろから桃色が、子供が、犬が、それからナイスバディな女性が姿を現して。
__え、お姉さん、その露出目に毒なんですけど・・・・・・?!
自分の胸元を見下ろして、断崖絶壁な角度は、見なかったふりをした。

「あ、配達ギルド」

呼ばれたら、応えてあげるが我がギルド。

「はいはーい、毎度おおきに、配達ギルド、黒猫の足です〜。ご用命とあれば、例え火の中水の中。ただし配達物の安全は保障しかねます〜燃えない紙、濡れない紙でどうぞ〜。天の上地の下、はたまた砂漠の中だって。運んで見せます。運ぶのは、荷物だけにあらず。信用も一緒にお届けします〜どうぞ配達ギルド黒猫の足をご贔屓に〜!」

ナイスバディのお姉さんには初めてのお披露目だ。
いつもより少しだけテンションを上げてみた。

ちなみにお姉さんはあらあらと笑っている。
美しい。

__ところで、さっきからこちらをガン見してくる黒髪はなんのようだ。

「配達ギルド__色仕掛け、してみねえか?」
「ふざけろ」

思わずそう返した私は悪くないはずだ。
昨日の今日だぞ?
しかも脈絡がない。
あったところで、黒髪達に協力する必要性を感じていない。

「あら、可愛い格好ができるチャンスよ」

お姉さん、たぶん色仕掛けは私よりもお姉さんの方が適任でしょう?
__否、でもお姉さんは適任すぎるのか・・・・・・それならちんちくりんの私がやった方が・・・・・・?
って、なんでやる方向で考えを進めた私!

いらないことを言ってきた黒髪をにらみつける。
と、黒髪はにっこりと笑ってきた。

「いや、衣装の準備をしてもらったんだが、ジュディじゃ些かサイズが小さくてな」

まて、お前どこを見て言ってる??

「エステルでもいいんだが、何かやらかしそうでな」

そこでなぜ配達ギルドの私を選んだ。
仲間でも何でもないだろう?

「あと選択肢がカロルなんだが__」

黒髪の目線を追えば、とてつもなく嫌そうな表情を浮かべる子供。
というか、男の子。
目があった瞬間、じいっと見つめてきた。

「配達ギルドさん、お願い・・・・・・!!」

若干涙目なのはそんなに女の子の格好するのが嫌なのか__まあうれしいわけがないよね。

子供には優しくするべき。
その考えを持っているため、子供からの懇願するような視線は無視しきれなくて。

「__仕事の一環ですからね!ちゃんとお金は払ってもらいますよ!?」

やけっぱちな私の返事に、彼らは楽しそうに頷いた。




配達ギルドと色仕掛け




「いや、こっちにも選ぶ権利があるだろう」

調達されたかわいい服を着て、頼まれた騎士へと色仕掛けをしてみた私に向けられた一言だ。
思わず叩きのめした私は悪くない、悪くないよね、これ!?


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報酬はかわいい服でした
まさかの現物支給
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