ドリーム小説







配達ギルドのあれこれ 









「エステルと、配達ギルドを返してもらおうか」

その言葉に、私は思わずきょとんとユーリを見返した。
なに言ってるんだろう、この黒髪は。
私は別にアレクセイさんに拘束されているわけでも、囚われているわけでもないというのに。
言うなれば、自分の意志でここにいるのに。

私の驚きをよそに、彼らに返されたお姫さまは剣を手に切りかかっていく。
すごいよねぇ、自分の身を自分で守れるお姫さまって。
守られるだけじゃない、お姫さま。

意志を失わされて戦う道具と化した彼女を、ユーリたちはどうするのだろうか。
卑怯だとののしられたアレクセイさんが笑う。
そんな言葉、アレクセイさんにとっては何の意味も持たないと言うのにね。

彼が剣を抜くとはめられた魔核が光り輝く
響くお姫さまの絶叫。
笑うアレクセイさん。

光が、天から地へかけたかと思えば、海底から指輪のような形の建物がせり上がっていく。
あれがザウデなのだろう。
まるでCG映像のようなそれを見て、成功だと笑う彼は、ゆっくりとお姫さまをその目に映す。

「姫、おひとりずつお仲間の首を落として差し上げるがいい」

自らを失わされたお姫さまに向かってそんな残酷なことをのたまった。

「姫も君たちがわざわざここにきたりしなければ、こんなことをせずにすんだものを。我に返ったときの姫のことを思うと心が痛むよ」

そうして、次に私をその目に映して。

「配達ギルドもご所望、とのことだったな。よかろう。連れて帰るがいい。ではごきげんよう」
「・・・・・・んん??」

ちょっとまって、アレクセイさんー???

ぶわり、わき上がった風と共に、アレクセイさんは姿を消した。
アレクセイさんを止めようとした手は宙に浮かんだまま。
皆から微妙な視線を向けられているのがわかる。

「__体よくおいてかれなかったですかねぇ?私」
「おいて行かれたわね」

ぽつん、落ちた言葉をジュディスさんはあっさり拾ってくれて。

「お帰り、配達ギルド」
「ギルド姐、怪我はなかったかのう?」

慰めるようにカロル君とパティちゃんが声をかけてくれた。

「お前等、とりあえずエステル止めるの手伝え!!」
「あんたたち!そいつ放っておいて、エステル止めて!」

ユーリとモルディオさんの声にあわててカロル君たちはお姫さまへと向かっていって。

「__あー・・・・・・見捨てられた者同士、改めてよろしく」

レイヴンさんの言葉にうなだれた私は悪くないと思う。





配達ギルドと騎士団長






、姫様を見届け、渡した魔導器に情報を集めて戻ってこい”

風と共に消える瞬間、耳元の魔導器からもたらされた言葉。

ただのその言葉は、配達ギルドである私からすると依頼以外の何ものでもなく。
見届けた情報を届けろと、そう言われたも同然だった。












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