ドリーム小説







配達ギルドのあれこれ 



 
「ドンさーん、お届けでーす」

レイヴンさんと一緒に入った場所には、騎士の制服を着た金髪がいた。

あ、やばい、タイミング間違えたな。
後にしよう。
一歩後退しようとすれば、ドンさんの目がこちらに向けられて。
こっちへ来いと手招きされた。

呼ばれたならば仕方がない。
ごそごそとドンさん宛のたくさんの荷物をとりだして、手渡す。

「ちょ、その鞄どんだけものはいってんの・・・・・・?!」

後ろでモルディオさんの声が聞こえた気がしたけれど、企業秘密なので内緒です。
ちゃんと受け取りのサインをしてもらって、用事は終わったと下がろうとすれば、ちょっと待て、と渡された別のもの。
何だったか、と渡されたものを確認すれば、それは以前モルディオさんから頼まれていた稀少本で。
ちょうどいい、このまま渡してしまおう、とくるり、後ろを向けば、金色の騎士と目があった。

お互いに瞬きすれば、ふわり、騎士が笑う。

「無事に届けられたのかな?」

ああ、そういえば、ラゴウの屋敷で出会った騎士だなぁ、と思い出したのでうなずきを一つ。
気にかけてくれていたのだろう、優しい騎士だ。

「おめぇはいろんなとこで知り合いを増やしていくな・・・・・・」

ドンさんの声に彼を見れば、呆れたように笑う顔。
まあこういう仕事してる限り、知り合い増えないと逆に不思議ですよね。
ただまぁ、知り合いはいても、友人にはなかなかならないのだけれども。

「モルディオさん、これ頼まれてた稀少本ですね。今受け取られます?それとも後日おうちにお届けした方がいいで「今、もらうわ」うわぁい、返事がはやぁい」

ドンさんと金色の騎士に背を向けて、モルディオさんの前に。
これを抱えて動くには重いだろうから、とだした提案はあっさりと却下されて。
とてつもなくきらきらとした瞳で本に手を伸ばしてきた。
無事に受け取ってもらって、報酬も受け取ったところで、これ以上この場所にいる必要などなくなって。

「またのご利用お待ちしてます〜」

さらりと手を振って、部屋から退出した。





配達ギルドと”天を射る矢”の首領















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