ドリーム小説
配達ギルドのあれこれ
そこからの強行軍は、文字で現すのはなかなか骨が折れるので簡単に伝えよう。
とりあえず言えることは、とてつもなくスピードが速かった。
すごくたくさん舌を噛んだ。
とりあえず、ついこの間会ったばかりの金色の人がヨーデル殿下だった。
頼まれた書状を配達ギルドである私の持ちうる最大限の特権で突破した。
__結果、帝国とギルドの衝突は避けられた、ということらしい。
ねえ、いつのまに私そんな危ないことに巻き込まれてたの?解せぬ。
そんなこんなで帝国とギルドの衝突を避けることに貢献したらしい私は、我がギルドのダングレスト支店にて、久しぶりに我が配達ギルドの首領からお褒めの言葉をいただき、給料upの約束をしてもらった。
うむ、うれしい。
__ちなみに配達ギルド”黒猫の足”は世界中に拠点を置いている。
んでもって首領はどの場所にもいない。
なぜならば、あの人は人里離れた山奥にて魔導器の研究をしているからだ。
それでも、なぜ首領からお褒めの言葉をいただけたかというと、実は各拠点、世界中を飛び回るギルド員には遠方のものと会話ができる魔導器を渡されているのだ。
相手も同じ道具を持っている必要はあるが、必要事項の会話にはとても役に立っている。
ついでにいうと、世界中を飛び回って届け物をする私は特例だ。
基本的にはその支店ごとに運ぶ範囲は決まっていて。
担当地区があり、それより外の範囲になれば別の支店へ持って行ってそこでまた配達員に渡される。
ただ、私はとある事情から、世界中を飛び回って運んでいて。
そのため渡されるのは比較的時間に余裕がある物、探すことを命じられたもの、だったりするのだ。
ダングレスト支店にてしばしの休息を許された私は、借りた部屋で鞄の中に入っている配達物を確認する。
武器商人ギルド”海凶の爪”のイエガー宛の手紙。
マンタイクにいる宿屋のおじさまに渡す予定の小包。
ノードポリカのお姉さんに頼まれた注文品。
ついでに言うと、今ダングレスト支店に入ったときに追加で渡されたのは帝都ザーフィスへの届け物。
ほかの何よりも厳重に袋に入って保管されているのは、10年前から届け主が見つからない手紙のたば。
それから__
騎士団の印が付けられたそれ。
渡す相手が分からない訳じゃない。
けれど、渡す時期を見計らっているのは確かで。
脳裏に浮かんだ銀髪が、渡す時期は私に任せると言ったから。
難しい注文のため、割増料金は伝えてある。
私たち、配達ギルドは何でも運ぶ。
手紙も小包も人の想いも。
たとえそれが誰かにとって不利益になろうとも。
だって、私たちは想いを届ける配達ギルドだから。
その想いに差異があってはいけないのだ。
配達ギルドと秘密の手紙
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