ドリーム小説
かわいいかわいい妹というその存在は、思っていたよりも難しくて。
自分の思うようにことは進まなくて。
スタートラインがかみ合わない
「勘ちゃん。」
昼じゃ込むからと一足早くお昼を食堂に買いに行って。
帰ってきたら少々困ったように笑う兵助。
そしてその手にあるのは見たことのある包み。
「妹がお前にって。」
まさか昨日の今日でそんなことがあるとは思わなくて。
ふるりと、体が喚起で震えたのを感じた。
そのままその日におとなしく家に帰って謝るなりなんなりすればよかったのに。
「勘右衛門、今日みんなで兵助の家で鍋するけどお前も来るか?」
学校が終わり家に帰ろうと立ち上がった瞬間三郎にそう言葉をかけられて。
頭の中では妹の姿がよぎって。
でも会いたくないという気持ちも少々あったものだからその言葉にうなずいてしまって。
そこからはもう、気まずくて気まずくて。
家に帰ることなんて簡単にできなくなってしまった。
「勘右衛門、今日から一週間新婚旅行に行ってくるから、ちゃんのこと頼んだぞ。」
だからそんな言葉を言われたところで家に帰るなんてすることができるはずもなく。
あの広い家にあの子が一人待つのかと考えるとどうも胸の中がもやもやとした。
「いいのか?勘右衛門。妹今日から一人なんだろう。」
「あの子、ずっと一人だったんでしょう?また一人にしちゃうの?」
「・・・今更帰れないし。」
三郎と雷蔵、二人の言葉にそっぽを向いて応える。
「毎日お昼御飯作ってくれてるってことはそんなに悪い感情を持ってるわけじゃないだろう?」
「・・・俺の嫌いなものしか最近はいってないんだけど。」
八の言葉に何ともいえない気分で返事する。
「なんにせよ勘右衛門。今のうちになんとかしないと戻れなくなるぞ。」
兵助の言葉には何も返すことができなかった。
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